彼の部屋は、やっぱりというか想像通り散らかっていた。数ヶ月前に提出のはずのプリントが何枚か目に入るが大丈夫なのだろうか。寺坂くんは恥ずかしげに口を開く。
「春輔、俺正直セフレってよくわかってない。」
え、今さりげなく僕の名前を呼ばなかった?
「て、寺坂くん、僕の名前知ってたの?」
山下春輔(やましたしゅんすけ)。名簿を見るたびに「こんな人いたっけ?」と小声で呟かれるようなくらいの影の薄さだというのに。
「そりゃ知ってるわ。でも…。」
「でも?」
彼はずっと僕と目を合わせてくれない。なんだが僕まで気まずくなってきた。
「俺のこと好きになってくれたんだから、お前のこともっと知りたいなって思った。」
「……えぇぇ⁉︎」
嘘でしょ。僕の好きな人が、僕にこんなことを言ってくれた。こんな幸せ絶対に二度とこない。恥ずかしさと嬉しさとちょっぴりの涙が込み上げてきた。
「んでさ、俺やっぱりセフレって何したらいいのかなんもわからない。だから…」
必死に、彼の言うことをひとつひとつ咀嚼する。頭の回転が酷く遅くなっているのがわかる。彼は続けた。
「今日だけ、俺のこと好きにして欲しい。」
コメント
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え?好きにしてもいい?? 腐女子にはあれしか想像できないぜ、☆w