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#好きな人を君に
放課後の教室。
窓から差し込む夕日が、机の上を赤く染めていた。
pr「だからさ、それ絶対おかしいって」
mz「えー、そう?{笑」
pr「そうだよ」
pr「akはどう思う?」
突然話を振られて、akは少しだけ目を逸らした。
ak「……別に、いいんじゃない?」
pr「ほら! akもそう言ってる!」
ak「いや、俺は何も言ってないけど」
pr「細かいなぁ{笑」
三人で笑う。
いつものことだった。
くだらない話をして。
くだらないことで笑って。
放課後になれば、誰からともなく一緒に帰る。
それが当たり前だった。
だからこそ。
akは、自分の気持ちを言えなかった。
prが好きだった。
ずっと。
でも、それを言ったら。
今までの三人が、三人ではなくなる気がした。
それが怖かった。
-–
mz「ちょっといい?」
帰り道。
mzに呼び止められた。
ak「何?」
mz「……prのこと、好き?」
akの足が止まった。
ak「……なんで?」
mz「分かるよ」
akは何も言わなかった。
mz「俺もだから」
風が吹いた。
akはしばらく何も言わなかった。
やがて、小さく笑う。
ak「そっか」
mz「うん」
ak「……どうする?」
mzも答えられなかった。
好きなら伝えればいい。
そんな簡単な話だと思っていた。
でも、prが笑っている顔を思い浮かべる。
三人で過ごした時間を思い出す。
もし、どちらかが告白して。
もし、prがどちらかを選んで。
もし、選ばれなかった一人が離れてしまったら。
今までの関係は、きっと戻らない。
mz「俺……」
mzが呟いた。
mz「このままがいい」
ak「……俺も」
mz「prには、何も言わない?」
ak「うん」
二人はそう決めた。
好きな人を諦めるためじゃない。
三人でいられる未来を、壊したくなかったから。
-–
それからしばらく。
何も変わらなかった。
pr「今日どっか寄って帰ろうぜ」
ak「どこ?」
pr「知らない」
ak「何それ」
pr「ak決めて」
ak「俺に丸投げすんなよ」
pr「mzは?」
mz「俺もakに任せる」
ak「二人とも酷くない?{笑」
三人で笑う。
そのたびに、akは思った。
このままでいい。
これが一番いい。
mzも、きっと同じことを思っていた。
でも。
好きという気持ちは、時間が経てば消えるものではなかった。
隠せば隠すほど、大きくなっていった。
-–
ある日の放課後。
また二人きりになった。
mz「俺、もう無理かもしれない」
mzが言った。
mz「prのこと、諦められない」
ak「……俺も」
mz「じゃあ、どうする?」
akは答えられなかった。
ずっと考えていた。
でも答えなんて出なかった。
prを好きなのは、二人とも同じ。
なのに。
どちらかが傷つかなければ、何も変えられない。
ak「……mzち」
mz「ん?」
ak「俺、prに言おうと思う」
mzは黙った。
mz「そっか」
ak「ごめん」
mz「なんで謝るの?」
ak「……分かんない」
mzは少しだけ笑った。
mz「じゃあ、俺も言う」
ak「……え?」
mz「嘘{笑」
mzは首を振った。
mz「俺は言わない」
ak「mzち……」
mz「akが言えばいい」
ak「でも」
mz「いいんだよ」
akは納得できなかった。
ak「本当に?」
mz「うん」
ak「後悔しない?」
mzは少しだけ空を見上げた。
mz「すると思う」
akは何も言わなかった。
mz「めちゃくちゃすると思う」
それでも笑った。
mz「でも、akならいい{笑」
ak「なんで」
mz「だって、俺の大事な友達だから」
その言葉が、akの胸に刺さった。
ak「……ありがとう」
mz「うん」
ak「俺、絶対大事にする」
mz「そうして」
mzは笑った。
その笑顔は、少しだけ泣きそうだった。
-–
その日の帰り道。
akはprに気持ちを伝えた。
prは驚いていた。
まさか。
自分がそんなふうに想われているなんて、考えたこともなかった。
ましてや、akから。
pr「……俺も」
prは笑った。
pr「akのこと、好き」
akは嬉しくて。
泣きそうになった。
その少し離れた場所で。
mzは二人を見ていた。
胸は痛かった。
悔しかった。
本当は、自分がそこにいたかった。
それでも。
mz「よかった{笑ッ」
小さく呟いた。
その夜。
三人のグループチャットには、いつも通りくだらない会話が並んでいた。
mzが送ったスタンプに。
prが笑って。
akが「うるさい」と返す。
何も変わっていない。
まだ三人でいられる。
mzが空を見上げる。
月が出ていた。
いつもと同じ月なのに。
その夜だけは、不思議なくらい穏やかだった。
まるで、三人の時間を静かに見守っているみたいだった。
-–
翌朝。
mzは学校に来なかった。
最初は誰も気にしなかった。
寝坊かもしれない。
体調不良かもしれない。
でも。
昼になっても。
放課後になっても。
mzは来なかった。
そして、帰りのホームルーム。
担任が、いつもより低い声で口を開いた。
先生「……みんなに、伝えなければならないことがあります」
教室が静かになる。
先生「昨日の帰宅途中、mzさんが交通事故に遭いました」
誰も、声を出さなかった。
先生「信号を渡っているところで……」
先生の声が遠くなる。
救急車。
病院。
連絡。
いくつもの言葉だけが、頭の中を通り過ぎていく。
でも、最後に聞こえた言葉だけは。
二人の耳に、はっきり残った。
先生「……もう、学校に来ることはありません」
pr「……嘘だろ」
prの声が震えた。
akは何も言えなかった。
ただ、mzの席を見ていた。
机の上には、昨日まで使っていた教科書。
椅子には、いつも掛けていた鞄。
その全部が。
本人だけを失っていた。
pr「俺……」
prが俯く。
pr「何も言えなかった」
akは何も言わなかった。
pr「mz、ずっと何か言いたそうだったのに」
akは拳を握った。
mzは譲った。
自分に。
大切なものを。
なのに。
自分は何を返した?
ak「……俺、mzちを一人にしたくない」
pr「ak?」
ak「最後まで、あいつは俺たちのこと考えてた」
pr「……うん」
ak「だから……」
そこで言葉が途切れる。
prは何も聞かなかった。
ただ、akの隣に座った。
二人とも、もう分かっていた。
mzがいない世界で。
三人だった頃の時間だけを抱えて生きていくことが、どれだけ残酷なのか。
-–
その日の夜。
月が出ていた。
昨日まであんなに穏やかだった月が。
今日は、ひどく遠く見えた。
そして翌朝。
教室には、三つの机が並んでいた。
mzの机。
akの机。
prの机。
先生が名前を呼ぶ。
返事はない。
三つの席だけが、静かに残っている。
机の上には、昨日と同じ教科書。
窓の外には、昨日と同じ空。
なのに。
もう、昨日と同じ三人はいない。
その夜。
月は、冷たかった。
だってまた、この世界から二人消えたから。
コメント
1件
あー、これ……めっちゃ刺さったわ。 三人の関係性が丁寧に描かれてて、mzの「akならいい」って笑ったとこがもう無理だった。最後の展開でさらにグッと来たし、タイトル回収の仕方も含めて余韻がすごい。好きって気持ちを抱えたままの優しさが、こんなに切なくなるんだなって思った。続きあるなら絶対読むわ🔥
Ott.はう#低浮
9
#bl
七瀬
91