「ま、待て、《転生魔法》だと?」
この国では100年前から《転生魔法》は伝説上の魔法に分類されている。もう使う者は相馬ぐらいだ。表の理由は魔王が使う悪魔魔法だからとされているが、噂では強い者を失わないようにするためだったとか。魔法を発動させると記憶を無くすからだ。
まあ、相馬は《記憶操作耐性》というぶっとんだスキルを持っているため無意味だが。
「ということは……勇者がソウマは記憶を失ってただの一般市民になったって事!?」
と、国の女王フェローラが叫ぶ。
「いかん…いかんいかん!これでは誰が残った魔物を倒すのだ!?」
魔王が倒された今、『世界は平和になった』ということになっているが、そうでは無い。残された魔物たちは魔王の仇を撃とうと人間界に攻めかけているのだ。
勿論食い止めていたのは壮馬で、それがまた汚れ仕事と言っても過言ではなかった。
魔物の他に魔王の接近である魔族は、人間と同じような体をしている。その代わり生命力が高い。たまに自然回復する奴もいる。よって心臓を貫かない限り滅多に死なない。
──────つまり、人殺しをしているような感覚を、壮馬はずっと味わっていたのだ。(そりゃ嫌になるよね)
魔族らは魔物の強靭化を目指した結果、人型(魔族に近い存在、魔族の眷属)になるしかないとわかった。
魔王が居なくなった途端に人型になった魔物が大量発生し、冒険者でも手に負えなくなってきた。この国で頼れるのは勇者相馬ただ1人。だが勇者がいない今頼れるのは──────
「元勇者パーティーの方たちなら何とかしてくださるのでは?」
「おお!その手があったか!!直ぐにそのパーティーを呼べ!」
これでしばらくは持つ……と息を着く国王だが、パーティーが来て直ぐに落ち着いている場合ではないと気づくだろう。ちょうどその時転生した相馬がある村を衰退させていたのだから。
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くっくっくっ、王様ざまーみろだあ!