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海月🌨️💧 ぴちりす
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放課後の校舎をあとにして、二人は並んで駅へと続く坂道を歩いていた。
空を見上げると、すっかり夜の帳が下りた街の向こうに、冬の冷たい星々が静かに瞬き始めている。
かつての戦火の記憶が生々しく蘇ったあとも、目の前にある現実の風景はどこまでも平和で、穏やかだった。
並んで歩くうち、ゆあんがふと足を止め、じっとうりの横顔を見つめた。
「どうしたの、ゆあんくん? そんなに見つめて……」
「うり……本当に、夢じゃないよね?こうして隣を歩いていて、笑ってくれてる」
ゆあんの声には、どこかまだ怯えているような、消えてしまいそうな危うさが混じっていた。
前世でうりを失ったトラウマは、そう簡単には消え去らない。
どれだけ今世で一緒にいられても、ふとした瞬間にあの地獄のような景色が頭をよぎるのだろう。
うりは立ち止まると、少し照れくさそうに笑いながら、ゆあんの大きな手に自分の手をそっと差し出した。
指と指をしっかりと絡め合わせ、体温を確かめ合うように強く握りしめる。
「夢なんかじゃないよ。俺はここにいる。前世みたいに、もう置いていったりしないからさ」
その言葉に、ゆあんの瞳がわずかに見開かれ、そしてふっと雪解けのような穏やかな笑みに変わった。
「……うん。そうだな」
ゆあんはうりの手をさらに強く握り返し、そのまま近くの公園のベンチへと誘った。
街灯の柔らかな光が二人を照らす静かなベンチに腰を下ろすと、冷たい夜風がふわりと通り抜けた。
けれど、繋ぎ合わせた手から伝わる温もりのおかげで、寒さは少しも感じなかった。
「あのさ、うり」
「ん?」
「これから先、何があったとしても……俺は絶対に、お前を手放さない。どんな運命が来ようと、今度は俺が守るから」
まっすぐに向けられる強い眼差しに、うりは胸の奥が熱くなるのを覚えた。
前世では守られるだけで、何もできずに引き裂かれた悔しさがあった。
でも、今の俺たちには対等な時間があり、未来がある。
「うん。俺も、ゆあんくんを守るよ。だから、もうそんな悲しい顔しないで」
うりがフッと笑いかけると、ゆあんは愛おしそうに目を細め、ゆっくりと顔を近づけてきた。
星空の下、誰に邪魔されることもない静寂の中で、二人は過去の傷跡を優しく包み込むように、再びそっと唇を重ね合わせた。
冷たい夜の空気の中に、お互いの鼓動だけが確かチクタクと響き渡る。
もう二度と離れないという誓いを胸に、二人は長く続いた前世の呪縛から完全に解き放たれ、本当の意味での新しい未来へと歩み出していくのだった――。
コメント
1件
第5話、読み終わりました…。公園のベンチで手を繋ぎ合い、静かに唇を重ねるシーン、本当に美しかったです。ゆあんの「今度は俺が守る」という言葉に、前世の悔しさと今世で得た強さが滲んでいて胸が熱くなりました。冷たい夜風と確かな鼓動の対比が素晴らしくて、もう離れないと誓い合う二人の未来を心から応援したくなります。ありがとうございました!