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どう接するのが正解なのか全く分からなくて、ただなおきりさんを見つめる。なおきりさんも僕を見た。自然と上目遣いになっている瞳に窓からの月明かりが反射する。不意に、綺麗だな、と思った。
なおきりさんが、風に飛ばされてしまいそうな声で、ただいま、と言った。今度は俺、いや、僕がこの人を助ける番なんだ、と、多分僕は思った。正直、俺の悩みはもう解決したに近い。だって、もう学校に行かなくても良いんだから。
だから、今度はちゃんと僕として、もふとして、この人を救わないといけない、と、今なら思える。いつからそう思えるようになったのかも分からない。こう思うまでに積み重ねるであろう絆も、僕たちにはない。でも、そんなのどうだっていい。だって、人を救いたい、助けてあげたい、なんて初めて思ったのだから。
この人が僕にしてくれたように、なんとか笑顔をつくって微笑みながら頭を撫でる。だいぶ落ち着いてきたけれど、まだ小さく嗚咽が聞こえてくる。
今までなおきりさんに何があったのか、この3日間、何をしていたのか。聞きたいことが山積みだけれど、一回忘れることにする。とりあえず、落ち着かせないといけない。僕よりも低い位置にあるなおきりさんの頭。それに合わせて屈んで、目線を合わせる。
「まったく、心配しましたよ。もう帰ってこないかと思いました」呆れたような、笑いを込めた口調でそう言う。少し失礼に聞こえてしまったかな、と思い、「あっ、いや、帰って来てほしくなかったとかじゃないですからね、!」と付け加える。その様子を見て何を思ったのか、なおきりさんはくすくすと笑っていた。え?と困惑していると、「もふさんって、真面目ですね」と言われた。意味が分からなくてしばらく黙っていると、まあいいや、と呟いて、お腹空きました?と聞かれた。確かにこの3日間水は飲んだかもしれないけど、なにも食べていないかもしれない。でもお腹は空いていない。まあ、せっかく気を遣ってくれているから、空いたっちゃ空きました、と答える。なおきりさんは、じゃあ用意しますね、と言うと、テキパキと慣れた手つきで食材を取り出し、調理していく。この人、料理できるんだな。
数分後、出てきたのはおいしそうな…なんだっけこれ。えっと…あ、オムライス、だったかな。一応、これってオムライスですか、と聞くと、そうですね。と返ってきた。
「じゃあ、いただきます」
あまり味は分からなかったけど、まあ、美味しいのは分かった。
意外と数分くらいで食べ終わった。そんなにお腹空いてたのかな。
「そんなに食べてもらえると嬉しいです」と笑顔のなおきりさんは、すっかり落ち着いたようで良かった。でも、このままじゃヒモにならないかな、?