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#異世界転移
花月夜れん
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200
ユキ
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第五十六話 今年、最後のシャッター
「一年の終わりに残した一枚は、きっと来年の自分へつながっていく。」
十二月三十一日。
今年も、あと数時間。
朝から家では、
おせちの準備や大掃除で慌ただしかった。
「湊、窓ふきお願い!」
母の声が聞こえる。
「はーい。」
カメラを置いて、家族と一緒に大掃除をする。
写真を撮ることも好きだけれど、
こうして家族と過ごす時間も、
湊にとって大切な思い出だった。
*
夕方。
大掃除が終わり、一息ついた頃。
湊はカメラを持って近くの堤防へ向かった。
冬の海は静かだった。
冷たい風が吹き抜ける。
オレンジ色の夕日が、
海の向こうへゆっくりと沈んでいく。
「今年も終わるんだな……。」
そうつぶやきながら、一年間を思い返した。
写真部。
文化祭。
写真展。
フォトコンテスト。
そして、紬との約束。
どの出来事も、昨日のことのように思い出せた。
*
カシャッ。
夕日が水平線へ沈む瞬間を、一枚。
今年最後のシャッターだった。
写真を確認すると、
静かな海の向こうに、小さな光が残っていた。
「また来年も、たくさん撮ろう。」
そう心に決める。
*
夜。
テレビでは年越し特番が流れている。
時計の針は、十一時五十分を指していた。
湊はスマートフォンを手に取る。
画面には、紬とのトーク画面。
《起きてる?》
送信すると、すぐに返信が届いた。
《もちろん😊》
《一緒に年越ししよ!》
そのままビデオ通話をつなぐ。
画面の向こうには、少し眠そうな紬の笑顔。
「今年もいろいろあったね。」
「うん。」
「でも、一番嬉しかったのは?」
突然の質問に、湊は少し考える。
「……写真を続けていてよかったって思えたこと。」
「紬は?」
紬は少し照れながら笑った。
「神崎くんと、約束をたくさん作れたこと。」
その言葉に、湊も笑顔になる。
*
時計は、23時59分。
二人は同じように窓の外を見上げた。
そして——
0時00分。
新しい一年が始まる。
「あけましておめでとう!」
二人の声が重なった。
「今年もよろしく。」
「よろしく!」
離れていても、
今年最初に交わした言葉は、お互いへの挨拶だった。
*
通話を終えたあと。
湊は窓を開ける。
冬の空気は冷たかった。
でも、不思議と心は温かい。
今年も、たくさんの景色に出会えるだろう。
たくさんの笑顔を残せるだろう。
そして——
また一歩、夢に近づけますように。
湊は新しい年の夜空へ、そっとカメラを向けた。
カシャッ。
今年最初のシャッターが、静かな夜に響いた。
📷 Photo.056『新しい一年の始まり』
撮影日:1月1日 0:00
終わりは、
新しい始まりでもある。
また今年も、
大切な一瞬を残していこう。
コメント
1件
ああ、もう今年も終わるんだなあって、湊くんと一緒にしみじみしました🥺 夕日が沈む瞬間の一枚、静かで美しいシーンだった…。紬ちゃんとのビデオ通話で「約束をたくさん作れたこと」って言うのも、すごくあたたかくて、読んでてこっちまで笑顔になりました。新しい一年の始まりをカメラに収めるラスト、今年も素敵な日々が続きますようにって思わせてくれる回でした📸🤍