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歩幅を合わせるようにして数歩並んだ。
でも、口から出てくるのは当たり障りのない言葉ばかり。
「……図書館、ですか」
「うん。就活の調べもの。面接対策とかさ」
悠真の声は落ち着いていて、聞くだけで安心する。
けれど“就活”という響きがまた、遠さを突きつけてくる。
何か言いたいのに、言葉にならない。
黙りこんだ咲に気づいたのか、悠真が横目でちらりと見て笑った。
「どうした、妹ちゃん。静かだな」
「……べ、別に」
顔を背けながら答える。
でも本当は、もっと話したいのに。
その気持ちは胸の奥でもやもやと膨らんでいくばかりだった。