テラーノベル
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交差点に差しかかると、大きなトラックが横を通りすぎていった。
その瞬間、悠真がさっと歩く位置を入れ替え、咲を車道側から庇うように立った。
「……っ」
ほんの一瞬のこと。
本人は気づいていないように自然な仕草だった。
「危ないからな」
何でもないように言う声が、やけに近く聞こえる。
「……ありがとうございます」
咲は視線を落とし、握る鞄の持ち手に力を込めた。
ただそれだけのことなのに。
心臓はまた勝手に速くなり、顔の熱を隠すのに必死になる。
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