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——数日後。
「滉斗!」
学校帰りの和葉が、少し遠くから手を振る。
また来てくれた。
それだけで、胸が少しだけ軽くなる。
「また来たの?」
「悪いかよ」
「ううん、嬉しい」
さらっと言われて、滉斗は一瞬言葉を失った。
そういうところだ、と思う。
無防備で、まっすぐで、残酷なくらいに優しい。
「…そっか」
それだけしか返せない自分が、少し情けない。
並んで歩き出す。
前より少しだけ、距離が近い気がした。
沈黙は相変わらず多い。
でも、前よりもほんの少しだけ、言葉が増えた。
「滉斗さ」
「ん?」
「将来さ、どこに住むの?」
不意の質問に、少しだけ考える。
「どうだろうな。まだわかんねえけど…まあ、東京とかかな」
「そっか」
和葉はうなずいて、少しだけ下を向く。
「遠くなるね」
ぽつりと落ちた言葉。
滉斗の足が一瞬止まりかける。
でも、止まらない。
止まったら、何かを言ってしまいそうだから。
「…そうだな」
短く返す。
それ以上、何も言えない。
言ってはいけない。
和葉は小さく息を吸って、顔を上げた。
「じゃあさ」
「ん?」
勇気を振り絞るように、言葉を続ける。
「大人になっても…ちゃんと会ってくれる?」
滉斗は少しだけ目を見開いた。
それは、あまりにもまっすぐで。
あまりにも重い問いだった。
でも——
「当たり前だろ」
迷いなく答えた。
それだけは、嘘じゃないから。
和葉はほっとしたように笑う。
「よかった」
その笑顔を見て、胸が痛くなる。
(それ以上は、約束できないくせに)
でも、今はそれでいいと思ってしまった。
夕日がまた二人を包む。
前と同じ景色。
でも、少しだけ違う空気。
言葉にはならない想いが、少しずつ積み重なっていく。
いつか、溢れてしまう日が来るとわかっていながら——
二人は今日も、何も言わないまま隣を歩き続ける。