次の日の放課後、帰宅途中、制服を着た警官が前から近づいてきた。隣に委員長がいるから、委員長の兄なのだろう。警官がもう行っていいというジェスチャーをすると、委員長は離れていった。
「森音露さんだね」
「そうだけど。もしかして昨日妹を蹴飛ばした仕返しに来た?」
「いや、おれが本気で暴力を振るえば君は死んでしまうだろう。今日は君と話し合いがしたいと思ってね」
「話し合い? 妹が怪我したから慰謝料で百万よこせみたいな?」
「人をチンピラみたいに言うな。警官として人の道を教え諭そうと思って待ってたんだ。君にも良心がないわけではないだろう?」
良心? ないな。魔王だし。
「余は弱い者のざれごとは聞かぬ。人の道を教え諭す? 余を倒せたら聞いてやろう」
「警官が非力な女子高生相手にケンカなどできるわけ――ごふっ」
問答無用。妹と同じように腹に蹴りをお見舞いした。ただ妹と違うのは思い切り手応えがあったのに警官は吹っ飛ばず、立ったまま持ちこたえていること。
警官をよく見れば、若いし背も高いし筋肉質で精悍な男だ。本気出したら余が死ぬと豪語するだけあってけっこう強いのかもしれない。少なくとも転生してから出会った者の中で一番戦闘能力が高いのは確かだ。
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