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「今の蹴りは何だ? まるで戦車に跳ね飛ばされたような衝撃だった」 「戦車に跳ね飛ばされたことがあるのか?」
「信じられないだろうが、ある。前世の話だけどな。前世では同じ衝撃を魔王と戦ったときにも受けた。君はあの魔王と同じレベルの強さを持つということか? いや、そんな人間がいるわけないな……」
前世? この男も余がいた世界から転生してきたということか? 魔王と戦ったことがある? 余と同じ時代に生きていたなら、余と戦ったということになるが――
「おまえは異世界から転生してきたのか? 信じるぞ。余もそうだからな。ところで、おまえが戦った魔王とは誰のことだ?」
「最狂魔王ネロンパトラ。狂うという字以外にも凶々しいの凶の字を使って最凶魔王とも呼ばれていたな」
警官はこの上なく忌々しげな表情になって、吐き捨てるように答えた。
「余がそのネロンパトラだが、おまえは間違っている。狂うでも凶々しいでもなく最も強い最強だ。人を死神か疫病神みたいに言うな!」
「おまえ、本当にあのネロンパトラなのか。ネロンパトラなら死神や疫病神そのものだ。おれたち人間は生まれたときから〈いい子にしないとネロンパトラに連れて行かれるぞ〉と大人たちに脅されながら育てられたものだ」
「心外だ。余がおまえに何をしたというのだ?」
「おまえがおれに何をしたか何も覚えていないのか? わが名セランティウスを聞いても思い出さないか?」
「セランティウス? それなら聞き覚えがある。確かわが宮殿に攻め入った勇者のリーダーだったか……」