テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
30分後。配達が届いた。
それまでテレビを見たり仕事の話をした。
いつも通りの。
「わぁいご飯だ〜!」
涼ちゃんはすごく嬉しそう。
ご飯でこんなに喜ぶ30代いるのか。
「食べよ〜伸びる前に!」
嬉しそうに袋から出す。
「ん?これなんだ?」と小さめの器を出した。
料理を選んでた時に涼ちゃんがこのメニューを見てスクロールが止まったのを見逃さなかった。
きのこのソテー。涼ちゃんがきっと好きなやつ。
「何でしょうね。」
上蓋が半透明だから中身が見えない。
「え、元貴のやつ?開けてい?」
涼ちゃんは俺のだと思っている。
俺はいいよ、と答えた。
「なんだなんだ?」と蓋を開けた。
するとえっ!とびっくりした顔で物を見ている。
「え、これ、きのこ……。」
俺は自分からきのは頼まない。それも涼ちゃんは知ってる。
ぱっと俺の方を見て
「え、頼んでくれたの?」と可愛い顔でそう言った。
「うん。まさしく涼ちゃんのためのメニューかなって。」
俺がそう言うとふにゃっとした微笑みになった。
「ありがと、元貴。めっちゃ嬉しい。」
どうしよう今すぐ抱きしめたい。
可愛い。俺の感情が爆発しそう。
「、ん。こちらこそ。」
耐えろ。俺はアピールしない。
これから耐えられるか分からないが。
「食べよ涼ちゃん。」
流れを変えよう。
ご飯に集中して、一旦冷静に。
「うん、頂きます!」
「頂きます。」
2人で頂きますをしてご飯食べる。
久しぶりにトマトパスタを食べた。
やっぱり安定に美味しい。
一生これでもいいな、と思うくらい好きだ。
「元貴の優しさきのこ食べよ。」
なんだそれ。俺の優しさきのこかよ。
何それ、と俺は笑った。
「ふふ、元貴がちゃんと笑ったの、久しぶりに見られた。」
あぁそうか。笑っても笑みくらいだったか。
美味しーい!ときのこをもぐもぐ食べている。
うさぎみたい。
「ごめん。全然話せてなかったな。2人と。」
涼ちゃんはそもそも別現場多かったからね〜と。
それもそうなんだが避けてたのは事実だし。
「今話せてるから。それでいいんじゃない?若井は残念だけど。」
そうだね、と涼ちゃんに答えた。
涼ちゃん、わんぱくだな。口に付いてしまっている。
涼ちゃん、と声をかけて、口に手を持っていく。
ん?ときょとんとして俺を見た。
涼ちゃんの口についた少しのきのこをそのまま食べてみた。
味は少なすぎてよく分からない。
「んえっ付いてた??言ってよー!そんなのじゃなくてちゃんと食べなよ!」
きのこが食べたい訳じゃないんだけどね。
まぁ、貰おうかな。せっかくだし。
「と、というか、元貴ってそういう事さらっとしちゃうの……。」
涼ちゃんはティッシュで口元を拭きながら俺を見る。
いや、涼ちゃんにだけだが。
そうだった。
アピールしないと誓ったこの誓いを秒で 破ってしまった。
「いや、しないよ。他の人には。」
誤解を招きたくないから普通に即答してしまった。
これじゃアピールしまくりじゃないか。
「ん、んぇ……?俺だからなの……?」
助けてくれ若井。
この場に今すぐ若井を召喚させたい。
俺は顔を片手で覆った。
普通に恥ずかしい。
「ね、ねぇ、元貴……。若井には……こういう事するの……?」
する訳ないよ、想像するだけでキモイ。
それはさすがにキモすぎて即答せざるを得ない。
「しないわ!」
涼ちゃんの方は見られないけど。
「え、俺は、いいの……?」
涼ちゃんってこういう時結構グイグイ来る。
何でだろうか。いつも言っちゃ悪いけど頼りないというか頼りやすいけどなんか違うというか。
「んん……。ん、いい。」
こうなったらもうやけくそだ。素直に答えてやる。
「ね、元貴……俺の事、どう思ってる……?」
直球がきた。
どうやって答えろと。
俺は考えて下を向く。
「ごめ……困らせちゃったかな……。あのね、元貴……。」
表情は見れてないけど涼ちゃんの声がしゅんっと下がったのが分かった。
俺も悲しくさせたくはないんだ、好きな人を。
毎日笑ってて欲しい。
俺はやっと今気づいた。
このまま変に制御出来ずにアピールして恥ずかしいから誤魔化して、を繰り返したらさらに涼ちゃんを傷付ける事になる。
もう覚悟、決めた方がいい。そう強く誓った。
「俺ね、元貴の事……」
待って、と涼ちゃんの声を遮った。
涼ちゃんは小さくえっ……と呟く。
「涼ちゃん」とフォークとスプーンを置いて、
「俺、涼ちゃん好きだよ。」
と。あれだけ告白する気もないと若井に言っていたのに。
伝えてしまった。自分の気持ちを。
涼ちゃんの方を真っ直ぐ見つめる。
涼ちゃんは目を大きく見開いてこっちを見ている。
「え……? 」と呟いた。
あれ、そうじゃなかったか。
もしかして間違えた?舞い上がってたの俺だけだったか。
消えたい、今すぐに。
視線をパスタに戻した。
「まって、元貴。本当?」
嘘だと思うか、これ。
「ほんと……ごめん……忘れて……。」
完全に意気消沈した。
ただただ恥ずかしい。
ガタッと前から音がした。
「忘れない!」と涼ちゃんが立って強めに言った。
びっくりした。こんな涼ちゃんを見たの初めだ。俺は思わず顔を上にあげた。
「あ、ごめん大きい声……出しちゃった。
えと、あのね。びっくりしただけなの……」
そう言って力が抜けたかのように座り、
続けて言う。
「今日、元貴からの嬉しい事いっぱいあって、
でもなんか今まで避けられてた気がしたし。
どっちなのか分からなくて。」
俺が変に避けて変に踏み込んだから。
本当にごめんと心の中で謝った。
「俺をただ慰めるというか今まで通りに無理やり戻してる、そういう事なのかと……。」
俺の爆速破りのアピールも全然効いてなかったらしい。
空回りすぎた。
「だから好きとかそういう感情なんて元貴には一切ないと思ってて。でも俺は、気持ち伝えたかったから、どうせなら伝えよって。伝えて振られた方が、マシかなって思ってた。」
振られる……?俺に?
ということは涼ちゃんは?
涼ちゃんはまっすぐ俺を見て、ちょっと置いてから言った。
「元貴、俺、元貴が好きなの。」
この瞬間時が止まったみたいだった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!