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第8話:「告白の決意」
翌日、私は涼との距離を少しだけ置くことに決めた。あの日、小夏が言った「大事にしなよ」という言葉が、頭から離れなかった。涼のことが、どれだけ大切だったのか、少しずつ自覚していった。でも、その気持ちをどう表現すればいいのか、まだはっきりとわからなかった。
学校で涼と顔を合わせても、いつも通り会話を交わすだけだった。でも、私の中で何かが変わっていくのを感じていた。涼が「好きな人」の話をしたとき、そのことがどうしても頭から離れず、心の中でぐるぐると考えてしまった。誰だろう、涼の「好きな人」は…?でも、もしそのことを話さなければ、気持ちが溢れ出してしまいそうで怖かった。放課後、友達と一緒に帰っている途中、ふと涼のことが頭をよぎった。涼が他の誰かを好きだと知ったことが、私の胸を締め付けた。それでも、私はその痛みを抱えながら、少しずつ前に進んでいかなければならないと思った。小夏が言っていた「大事にしなよ」という言葉が、心の中で繰り返されていた。それが私に、涼を大事にしなければならない理由を教えてくれていた。
家に帰ると、母がいつものように笑顔で迎えてくれた。でも、私の顔には少し暗い影が差していた。母はすぐにそれに気づき、心配そうに声をかけてきた。
「どうしたの、奈子?」
「うん、ちょっと考え事してた。」
「考え事?あら、恋愛のことでも?」
母が冗談めかして言うと、私は顔が熱くなるのを感じた。母の言葉に、少し照れくさい気持ちとともに、何かが軽くなるのを感じた。
「ないない。」
「そうなの?」
母は、あまり気にしていない様子でキッチンへ向かった。
その夜、私は自分の部屋でひとり、強く決意を固めた。涼に告白しよう。ずっと幼馴染として過ごしてきたけれど、このままでは心の中で何もかもが溢れてしまいそうだった。涼のことが好きだと気づいて、もうその気持ちを隠すことができなかった。
「涼、私の気持ち、伝えなきゃ…。」
その言葉を心の中で繰り返すたびに、胸がドキドキしてきた。怖かったけれど、もう逃げるわけにはいかない。小夏が言ったように、涼を大事にしなきゃいけない。そして、私自身の気持ちも大切にしなければならないんだ。