──────私は一応高校生になった。小さい頃に習った。
【自分より弱い弱者には優しくする】
をきちんと心にとめて、今まで過してきた。
そのお陰か、小さい頃からそれほど大きな問題は起こしていない。
────────────……
“ねぇ!チュベローズさんは好きな人とかいないの!”
またこれだ。高校生ともなると恋愛の話だの、経験数の数だの、そんな話ばかりをする。
【私はあんまりそういうのに興味がなくて…】
笑って誤魔化せば、相手の女の子もそっかと直ぐに諦める。すると、直ぐにまた別の話題を出てきた
“チュベローズさんは知ってる?最近変な人が出てきてるんだって”
変な人…?聞いたことがなかった。そもそも何時も学校が終わればいつも家にすぐに帰っていたからだ。理由としては、父から色々と学ぶため……ってこれはおいておいて…。私は彼女の話の続きを求めた
【どんな人なの?】
“んー…私もあんまりよく知らないんだけど、女子高生を狙ってるんだって〜!怖いよねぇ”
きゃ〜♪と言わんばかりの声を上げ、騒いだものの、別に怖くなんてない。私が?負けるはずがない。そんな考えが頭によぎる。
チャイムが鳴る。ああ、授業だ。
…
ようやく授業が終わり下校の時間になった。
私は昼間の話を思い出して
【…変な人がいては女の子達も安心して帰れないだろう…】
私は変な正義感を抱き、その”変な人”とやらを見つけるために街に出た。きっと、父や兄に怒られるだろう。だが、人を守るためと言うならきっと褒めてくれる。
街に出たものの変な人というのは居ない。普通のサラリーマンや、学生やら。全くデマなんじゃないか。少し残念に思いながら帰路につこうと歩いていると。
ふわ……
尻尾が優しく触られた。私は直ぐに後ろを向いた。すると、そこに居たのは変な……ひ、と?…いや、ふざけるな。こんな、の、人なんて言えないだ、ろ。目の前には明らかに”人”とは言えない何かしらの生物がいた。く、ち?裂け目としか見えないソレは笑っていた。私は直ぐに逃げようとした、するとその”ナニカ”は私の足を掴んだと思えばべちゃ、と自分の身体に私を近付けた。生暖かく柔らかな感触に私は気持ち悪さを覚えて、暴れた。
【異能力】この世界でそう言われる多くの人物に与えられるそれは私にもあった。が、まだ正確に扱える代物ではなかった。単に言えば触れたものを消す異能。下手をすればそこら辺一体を全て消してしまう。そんなことをすれば何人の人が死ぬ?私はそう考えれば考えるほど異能力を使うことが出来ずにいた。
ずぷ、ずぷ
ああ、段々中に引きづり込まれていく。このままだと完全に引き込まれる。そんなの、やだ。このわたしが、こんな、下等な、下劣なやつに。ああ、正義感なんて出さないで直ぐに家に帰れば良かった。
顔も飲み込まれた。息が、苦しい。誰か、
“チュベローズ”
そう呼ぶ声と共に私は外に放り出された、と言うよりもそのナニカが消えていた。私は聞き覚えのあるその声にすぐさまに後ろを向いた。
そこには……