テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
『双子の名探偵は今日も嗤う』〜謎あるところに闇は生まれる〜
第1章 『狙われたシンデレラのガラスの靴』
〜宝石と美しい硝子〜
第4話 疑わしきは罰せず
私は別室にハリー様のお付きのユリア・ビルゲーンさんに呼び出した。
『突然すみません。気になることがありましたのでお呼び立て致しました。』
『は、はい…。』
『貴方はハリー様の召使いの方ですよね?』
『はい。』
『今日はハリー様のお付でここに来た。では、一昨日はなぜ来なかったのです?』
『え…。』
『ハリー様に召使いが何人いるかは存じ上げませんが…貴族の方なら1人くらいお付の方がいてもおかしくありませんから。』
『で、でも他の人達はお付の方なんて…。』
『中央の大地と南の大地ではどうやら違うようですね。私は詳しいことは存じませんが。』
『私はその……。』
『……。』
(会った時から思ってたけどやはり気になるわ。オドオドした態度。何かを隠しているようなこの違和感。心を読んだ方が早いか。)
『…すみません。これ、怖がらせてしまったかしら。外しますね。』
シュル……。
『…っ!』
『気になさらないで下さい。これは単なる生まれつきのものですわ。』
(さて、何を隠してるのか…私に教えて?)
《私、疑われてるの…?》
『…。』
(まぁそう思うのが自然よね…。)
《怖い…。》
『何をそんなに恐れているんですか?…あぁ、私のこの瞳ですか?』
『いえ、そんなことは……。宝石のようで美しいと思いますよ。』
『ふふ。ありがとうございます。ところで貴方のその首元のネックレス…。』
『えっと、これは…。アレキサンドライトと言って……。』
『ふふ、すみませんね。宝石には詳しくなくて…アレキサンドライトってどういう宝石なんですか?』
『アレキサンドライトは光によって色が変わるんです。宝石なのに色が変わるなんて凄いですよね。』
『えぇ。確かに美しいですね。』
(自分で自分の首を占めるなんて。宝石のことを褒められるとすぐに効果まで話してしまうのね。)
『聴取は以上です。元の部屋におかえり下さい。』
『は、はい。』
『あぁ、最後にひとつ……。私は疑わしきは罰せずですから。証拠もない限り疑うことはありませんから。』
私は貼り付けたような笑みで笑う。
バタンッ。
『…ふぅ。』
(さてと。今頃ルカスとベリアンは上手くやってくれてるかな。)
一方その頃――
デビルズパレス 地下の執事部屋
『急にベリアンさん達から手紙が届いたからびっくりしましたよ……。』
『急に靴を作ってくれなんてどうしたんでしょうか?』
『きっと主様の為だね。ルカスとベリアンが主様の仕事のお手伝いをしてるんだ。』
『ガラスの靴に宝石を散りばめたような靴…。主様の仕事の力になれるのなら……。』
俺は手紙と一緒に届いた絵の通りに靴を作っていく。
デビルズパレス 庭
『……お姉ちゃんは今お仕事中か。』
『気になるっすか?』
『うん…。私、お姉ちゃんに嫌われてるのかな。』
『え?』
『仕事には連れてってくれないし…どことなくそう感じて。』
『……。』
伝わないってなんて残酷なんだろう。
双子で、血を分けた姉妹だからと言っても
心まで通じ合える訳がない。
皮肉なものだ。心を読める異能を持っているのにそれすらを大切な妹の前では見せられないのだから。
数時間後――。
『そろそろ、かな。』
私は美術館の外に出る。
そして、見慣れた馬車を見かける。
『!』
馬車の中からフルーレが出てきた。
『主様!お待たせしました。この箱の中に靴が入ってます!』
『ありがとう、フルーレ。』
『上手くできたと思います、主様。お仕事頑張って下さいね。』
『うん。フルーレ、ありがとう。』
私は箱を抱えて美術館のホールに戻る。
『悪魔執事の主は一体何をしてるんだ……ここで少し待っていて欲しいと言ってから……』
『主様なら今ガラスの靴を探しに行ってます。』
『えっ!?』
『な、何を言ってるんだ執事。私のガラスの靴は盗まれたんだ。もうここには…。』
『えぇ。でも主様が探すと言って聞かないんです。大丈夫ですよ。必ずガラスの靴は見つかりますから。』
コツコツ……。
『皆さん、お待たせしました。』
『そ、それは…!』
私の手に抱えられている靴を見てグロリア様が凝視する。
『わ、私のガラスの靴!?一体どこに!!』
『美術館を走り回って探しました。まさかあんな所にあるなんて…。』
『ありがとう悪魔執事の主…。』
『これで事件解決ですね。グロリア様。』
『あぁ。早速ケースに戻して明日美術館を正式に開園させよう。』
『……。』
その日の夜――。
ガサガサ…。
『やっぱりある…だって私がここに隠したんだから…。』
私は美術館の絵を外した。
『貴方が犯人でしたか。』
『!?』
私は蝋燭で顔を照らす。
『ハリー様の召使い…ユリア・ビルゲーンさん。』
その時、首元のネックレスの宝石の色が変わった。
『なっ!?』
緑色の宝石が赤色に変わった。
『やっぱり…。』
『どういうことだ…。色が変わった?』
『グロリア様なら聞いたことがあるはずです。アレキサンドライト…色が変わる宝石のことですわ。』
『確か自然光、日光のしたでは緑色で蝋燭の光では赤色になると…。』
『えぇ。その通りです。』
『なんで此処に貴方が…っ。だって…。』
ゴーン、ゴーン……。
0時の鐘がなる。
さぁ。シンデレラの魔法が解ける。
『謎と闇は全て暴かれました。
さぁ。光の名のもとへ全てを明白に。』
次回
第1章 最終話 魔法は解ける
コメント
2件
石や宝石大好きだから嬉しいしかも今回私の好きな物詰め込まれすぎて死にそう笑完結まで読めますように