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第6話
nmmn
rtkg
学パロ
付き合っている設定
ktmが出てきます(当て馬?usmのライバル的な存在として)
第5話の続き
翌週の放課後。
教室の窓から差し込む夕陽は赤みを帯び、机の上に長い影を落としていた。
カゲツは教科書をカバンに詰めながら、そわそわと時計を気にしていた。今日はリトが部活で遅くなる。――一緒に帰れないのは少し寂しいが、仕方のないことだ。
そのとき。
「カゲツさん、ちょっといいですか」
振り返ると、教室の入り口に北見が立っていた。
長身の影が逆光で黒く映り、鋭い視線がこちらに向けられている。
「……なに?」
「話したいことがあるんです。ちょっと来てください」
拒む隙を与えない声音。カゲツは一瞬ためらったが、周囲にはもう人影もなく、逃げ場がなかった。
*
連れてこられたのは、人気のない体育倉庫裏。夕暮れの風がかすかに吹き、草の匂いが漂う。
北見は壁にもたれ、腕を組んでいた。
「単刀直入に聞きます。リトさんと付き合ってるんですか?」
――やっぱり、その話か。
カゲツは胸の奥がぎゅっと縮まるのを感じた。
「なんで、そんなこと……」
「体育祭のときのリトさんの顔見りゃわかります。カゲツさんを守るって顔してた。普通の友達にあんなの、できない」
鋭い声が突き刺さる。
カゲツは反論しようと口を開きかけ、けれど言葉が出なかった。
北見は一歩踏み出し、距離を詰めてくる。
「俺はカゲツさんに惹かれてる。細くて可愛げがあって、けど真剣なときは誰より必死で。……そういうとこ、見てて放っとけねぇ」
真っ直ぐに告げられる言葉。
冗談じゃない。本気の眼差しだった。
カゲツは思わず後ずさり、背中が壁に当たった。
「北見くん、やめてよ……」
「どうしてですか。リトさんより絶対俺の方が、カゲツさんを大事にできます」
伸ばされた手が頬に触れそうになる。
その瞬間、カゲツは反射的に声を張り上げた。
「……っ! ぼくは、リトがいい!」
言葉が空気を震わせた。
自分の口から「リト」と呼んでしまったことに気づき、心臓が跳ね上がる。
北見の目が見開かれ、やがて苦々しく歪んだ。
「やっぱり、そうですか……」
彼はしばらく黙り、拳を握りしめると、背を向けた。
「いいです。でも忘れないでください。リトさんはみんなの前じゃカゲツさんを守れるかもしれません。けど、陰口や好奇の目から一生守れるわけじゃない」
吐き捨てるように言い残し、北見は歩き去った。
*
取り残されたカゲツは、壁に背を預けたまま大きく息を吐いた。
――怖かった。でも。
胸の奥には、不思議な確信があった。自分が誰を選ぶのか、もう迷いはない。
そのとき、遠くから運動部の掛け声が聞こえてきた。
――リト。早く会いたい。
心の中でそう呟きながら、カゲツは夕闇に染まる空を見上げた。