テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
【翠視点】
梅雨が終わった初夏のある日。
私、一ノ瀬翠(いちのせ すい)は、いつも通り生徒会室で書類仕事。今度行う私のクラスの行事の、林間学校に参加する生徒と先生の数の確認。林間学校は私も楽しみだから、丁寧に書類を片付けていく。
「あ、会長〜、それ林間学校のやつ?俺楽しみだなぁ」
横から降ってきた声に、私は少し驚いて振り返ると、そこには私のよく知っている人物。
「はぁ……七番くん、びっくりするから急に声かけないでよ」
「あはは、ごめんねー、面白いからさ」
すっごく反省してなさそうに言うのは、私のクラスメイトのムードメーカーの、七番くん。七番(ななばん)くんは、実はこの柊学園の七不思議の七番、「身体強化」の能力を持つ怪異。七番くんはいつも薙刀の入った細長いケースを肩に担いでて、瞳が赤と青のオッドアイのいつも笑顔で掴めない男の子。ちなみに私は、七不思議一番の「拒絶」を持ってる。でも私は人間で、少し不思議に思っている。
「会長、俺暇なんだけど」
「じゃあこの書類片付けるの手伝って」
「それは無理ー、めんどくさい」
七番くんは人差し指でバツの形を作って笑った。私もクスッと笑う。
「会長、今日も怪異出なかったねー」
「平和でいい事だよね。でも最近怪異の出没数少ないよね」
「……そうだね、ま、怪異にもなんか事情あるんでしょ!」
「怪異に事情があるんだったら七番くんみたいにいつも暇ってこと?」
私は七番くんの言葉に笑いながらも言うと、七番くんは、
「俺は暇っていう仕事をしてるから!だって怪異って散歩して一般人襲うだけじゃん、絶対つまんない〜」
「七番くんの仕事はわかったけど、怪異のルーティーンはちょっと嫌かなぁ」
七番くんは笑って、オッドアイの瞳で瞬きする。
そういえば、七番くんのオッドアイの理由、生まれつきって言ってたけど、すごく綺麗。まるでルビーとサファイアみたい。
七番くん、いつも笑顔だし、自分のことより周りのことばっかり話すから、七番くんのことはほとんど不明。わかることは、七番としての能力だけだ。
私は、窓に寄って、校庭でサッカーをしている生徒達を見ている七番くんを、じっと見つめた。………………やっぱり、何考えてるか分かんない。
私は、そんな七番くんに小さな違和感を抱きつつも、すぐにそんな違和感を頭から消して、書類仕事に入る。
私は知らない。
校庭を眺めていた七番くんが、一瞬こっちを見た時に、笑っていなかったのを。
「いつまでその笑顔が続くかな」
七番くんは校庭を眺めながら、そう呟いた。
コメント
4件
分かりました! 言っていいのか分かんないけど、次回は七不思議の六番ちゃんの視点です!
第2話、読ませてもらいました〜!七番くんとの何気ないやりとりがすごく自然で、でもラストのあの呟きで全部の空気が変わった感じがした…。翠ちゃんが気づいてない“笑顔の裏”を読者だけが知ってるのがもうゾクゾクする。七番くんのオッドアイがルビーとサファイアみたいって表現、すごく綺麗で印象に残った。続きが気になる…!