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前回の続きからです
あの日から、2週間が経った。2週間前の今頃、俺はガクガク震えながらdiscordの通話ルームに入り、ないこに「辞めたい」と打ち明けた。
そして今日、俺は再びないこに大切な話をする。
今度は、「続けたい」って話を。
discordの通話ルームに参加し、深く息を吸ってから、マイクをオンにした。
『ないこ、この前の答えなんやけどさ』
「……うん。」
少し間があって、ないこが返事をした。
その声は小さくて、緊張を感じさせた。きっと、俺の言葉を怖がってる。
……それでも聞いてくれる、構えてくれてる、そのことがありがたくて。
だから俺も、覚悟を決めて言った。
『やっぱり俺、まだこの活動……続けたい。』
『この“いれいす”のメンバーと、リスナーさんと、夢を叶えたい。』
「……それは……」
ないこがなにか言いかけたので、かぶせるように続けた。
『これはな、俺が“夢を叶えたい”って思って言ってる。』
『誰かの夢やからじゃなくて、俺の夢やから。……俺たちの夢やから。』
それを言った瞬間、自分の中でなにかがストンと落ち着いた。
最初は“やめる”しか見えてなかったのに、今は“叶えたい”って気持ちがちゃんとある。
それを言える自分が、ほんの少しだけ誇らしかった。
「……まろぉ〜……」
ないこが、ごにょごにょとした声で名前を呼んだ。
その声があまりにホッとしたような音だったから、俺はふっと笑ってしまう。
「まろがそう言ってくれて、本当に嬉しいよ」
「絶対に叶えよう。この夢は、俺たちの夢だからね」
「……でもさ、限界来る前に、疲れたら相談して?
ちゃんと、メンバーに頼って。……ほんまに心配なんやから。そこだけは絶対、よろしく!!」
いつもの喋り方に戻ったないこ。
さっきまでの堅苦しい空気が、ふっと溶けていった。
たった一言で、ここが俺の“居場所”なんやって思える。そんな雰囲気を、ないこは自然に作ってくれる。
『……うん、疲れたらないこたん頼っちゃお〜…笑』
ふざけた感じで言ったら、
ないこが「うわ、でた〜」とか言いながら、楽しそうに笑った。
『俺、まだ怖いこともいっぱいあるけど、……でも、もう逃げたくないって思ってる』
『ここで、また始めたい。今度こそ、ちゃんと自分の夢のために。』
ないこは静かに聞いてくれて、
「うん、俺も一緒にいるよ」って小さく返してくれた。
――もし、また泣きたくなる夜が来ても。
――もし、また自信がなくなってしまっても。
今なら、言える気がする。
「俺、まだ歌いたい」って。
ないこがいてくれる限り、きっと大丈夫や。
『僕の終わりに、君がいた。』
𝕖𝕟𝕕 𓂃𓈒𓏸𑁍
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