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「んじゃ、行ってくる」
「いてらー」
「お兄、ちゃんとお皿シンクまで運んでよ?できたら洗って。期待はしてないけど」
「大丈夫。執事が来るから」
「執事?誰」
「保」
「おい。自分の親友を執事って呼ぶなよ。あとあんなチャラくてアホな執事がいてたまるか」
ルイとルビーのイメージで執事の服を着て
「うぃっす!」
と言っている保の姿が一致する。
「たしかに」
イメージ上での保が
「おいっ!」
とツッコむ。
「じゃ、行ってくるわー」
「んー。気ーつけて」
ダルがりの兄が「気をつけて」という言葉を添えてくれるのがルビーは好きで
玄関の扉が閉まるとニコッっと微笑み、ルンルン気分で高校へ向かうのであった。
「今日はぁ〜2限か〜らぁ〜」
こちらもルンルンの保。1限がないというだけでこんなにも嬉しそうなのである。
音楽を聴きながら講義室に入る。ルイの姿はない。不思議さはない。
むしろルイの姿が見えた方が驚くだろう。席に座る。
「たーもつ」
軽く背中を叩かれる。保がワイヤレスイヤホンを外しながら振り返る。
そこには茶髪で毛先をピンクに染めている女の子が立っていた。
「おはーうたー」
手をパチンと合わせる。彼女は多馬(たま)歌乃(うたの)。保の彼女である。
「あ、那緒(なお)もおはよ」
「おはよ。ルイは?」
「来るわけないよね」
「まったく…」
歌乃は保の隣に、那緒は歌乃の隣に座る。
「那緒また呆れてたぞー」
保がルイにLIMEを飛ばす。
「いい加減来ないと単位落とすよ?」
お母さんみたいなLIMEを飛ばした彼女。彼女は本須(もとす) 那緒(なお)。
ルイや保、歌乃と幼馴染。世話焼きお姉さんという面がある。
「保ーお昼どうする?」
「ん?あぁ、ごめん。お昼は作りにいくんだ」
「え、どこに?」
「ん?ルイん家(ち)」
「へっ…」
歌乃が青ざめて口に手を添える。
「保…ついにルイの顔の良さにやられてノンケに…」
「え?違うよ。オレが好きなのはうただけ」
バカップルである。
「うた。ちなみにノンケの使い方間違ってるからね」
那緒に訂正される。
「え?ノンケって違ったっけ」
「ノンケは異性愛者のこと。同性愛者のことじゃない」
「あ、そうなんだ。間違えてた」
「オレも気づかなかった」
”バカ“ップルである。
「そうだ。2人も行く?ルイん家(ち)」
「え」
「え?」
「いや、強制ではないから嫌なら全然…」
「行く!」
歌乃が笑顔で挙手する。
「おぉ。じゃあ一緒に料理作る?」
「いいよー!てか単純にひさしぶりにルイん家(ち)行きたい」
「大豪邸ね」
「そ」
歌乃がゆっくりと那緒のほうを見る。
「那緒はー?どうするー?」
「え?」
歌乃は手で口元を隠しながら那緒の耳元で小声で
「ルイに会いたいでしょ?」
と言う。
「は!?いや?別に!?ま、でも2人が行くんなら行く…かな」
ツンデレである。保も歌乃のニヤッっとしている。そう、那緒はルイのことが好きなのである。恋愛的に。
「じゃ、2限終わったらみんなでルイん家(ち)へ、レッツゴー!」
「おー!」
保と歌乃は恥ずかしげもなく拳を天に突き上げる。那緒はなにも言わないが小さく拳を突き上げる。
「おーわったー」
保が伸びをする。2限の講義が終わった。
「さっぱり何言ってるかわからんかった」
さすがはバカ、ちゃんとプリントに書き込みはしているもののさっぱりわからなかったようだ。
「ま、この講義テスト、プリント持ち込み可らしいから大丈夫だよ」
「よし!んなら行きますか!」
「おー!」
綺麗な長いブロンドヘアーがメデューサのように広がっている。眠り顔も美しい。
ハーフはズルいと感じさせる顔代表だ。薄らと目を開ける。あくびが出た。
「眠っ」
今の今まで寝ていた者とは思えない発言である。
今日も保来てんのかな
という少しの期待を込めてベッドから立ち上がる。
Tシャツの背中のほうから手を入れて背中を掻きながらリビングへ向かう。
カチャッ。リビングへの扉を開ける。
「お!ルイおはよー」
「あ!ルイ!おはよ!お邪魔してるよ!
あ、もうそろキャベツ入れて。キャベツはあんましんなりさせたくないから」
保と歌乃が2人でキッチンで料理をしている。
「え。オレん家(ち)はいつ無法地帯になったの?」
「ルイ」
ルイはキッチンのあまりの光景に見落としていたが、ダイニングテーブルの1脚のイスには那緒が座っていた。
「おぉ。那緒もいたんだ」
「付き合わされてきただけだけど」
キッチンの保と歌乃がニヤッっとする。ルイはダラダラとソファーへ行く。
「ルイ。そろそろ講義顔出さないと単位落とすよ?」
那緒もソファーへ移動する。しかしルイの長い脚でソファーが占領されているのを見て引き返す。
「あー」
「あーって。明日は?たしか4限あったよね?」
「あー。あるね。たぶん」
「保ー」
那緒は保に呼びかける。
「あぁ。4あるよ」
「引きずってでも連れてって」
「あ、はい」
那緒の鋭い眼光に保も少し怯む。
「できたーよー」
「できましたよー」
「保と私特製焼きそばでーす」
焼きそばと他にも料理数品並ぶ。
「美味しそー」
保が那緒に近づき
「これくらいはできたほうがルイのハートは掴めるぞ」
また那緒の鋭い眼光が保を貫くが今度は怯まない。ニヤッっとしたままソファーへ行く。
しかしルイの役割であるお箸などを出すという仕事のため
立ち上がるがすでにテーブルにお箸が並べられていたので、そのままダイニングテーブルのイスに座る。
「じゃ、いただきます!」
「「「いただきます」」」
各々の言い方で言い、手を合わせ食べ始める。
「んん〜うまぁ〜…」
ルイが染み染みと言う。
「マジで結婚してくれ」
「けっ…」
那緒の箸が止まる。那緒の頭の中で妄想がスタートする。
「那緒…ずっと好きだった。結婚してくれ」
那緒は保や歌乃の顔を見て現実に引き戻される。
「あ、でも焼きそばは主に私が作ったから」
「うたが作ったのか。じゃいいや」
「じゃいいやとはなにさ、いいやとは」
「いや、人妻に手出すわけにはいかんし」
「まだ妻じゃありませんー」
「“まだ”ね」
保と歌乃が顔を見合わせて笑う。胃もたれするほどのバカップルである。
「「ご馳走様でした」」
家族のように揃ってご馳走様。お皿は那緒が洗うと言って那緒が洗ってくれている。
「保はなんでそんな料理できんだっけ?」
不意に歌乃が聞く。
「ん?単純に母さんの負担軽減?ほら、うち弟小さいじゃん?」
保には中学生の妹とまだ幼稚園の弟がいる。
「妹はまあ中学1だから平気だけど、弟がまだ小さくて面倒かかるから
だから食事の負担くらい。ね?」
「保カッコいい」
「お。そお?」
目眩がするほどのバカップルである。
「良かったねー。いいパパになりそうで」
ルイがテレビを見ながら何気なく言う。
「もう!バカじゃないのっ!気が早いって!」
ルイの長い脚を叩く。思いの外いい音が鳴り響き、綺麗な白い脹脛に赤く手形が浮き出る。
「…はい。お前出禁な」
「待って待って!」
「オレからも待って!」
「なんでだよ。保は来られるんだからいいだろ」
那緒が洗い物を終えて合流する。
「うたは保が絡むと一気にバカになるから。力加減もが。なんかいる?」
那緒がソファー前のローテーブルのグラスを指指す。
「お、じゃあ…なにあったっけ?」
「私も行くよ」
「うた、ありがと」
「いいえー」
流れで歌乃はルイのグラスを那緒に手渡す。歌乃はニコッっと笑い
「行こっ」
っと言い、キッチンへ向かう。
「飲むヨーグルト、オレンジジュース、ソラ・オーラ
四ツ葉サイダー、ココティーレモン、ストレート。あと牛乳」
「どれがいー?」
あまりの種類の豊富さに
「そんなあったっけ?」
保は思わずルイに聞く。
「あぁ。ソラ・オーラはオレが好きだからだけど、他はルビーが好きだから」
「はえぇ〜」
「オレオーラ」
「じゃあぁ〜…」
と保は考え
「ルイはオーラ!オレはオレンジジュースお願い!」
とお願いした。
「はーい!」
那緒と歌乃はそれぞれ自分のグラスに飲みたい飲み物を
ルイと保のグラスには頼まれた飲み物を注いでソファーへ行く。
「はい、どうぞー」
「ん、うた、センキュー」
「いーえー」
歌乃はニコッっと那緒に微笑み、ダイニングテーブルへ向かう。
「ルイ…」
「ん?」
ルイが寝転がったまま那緒のほうを向く。
「ん」
那緒がグラスを差し出す。
「ん。ありがと」
ただの「ありがと」でも那緒にとっては嬉しい。しかしルイはグラスを受け取らない。
「ルイ」
「ん?」
「はいってば」
「あぁ。置いといて」
少しイラッっとした那緒はルイのこめかみら辺にバランスを取るように置いた。
「置いといた」
歌乃のいるダイニングテーブルに向かう。
「置…置いといてとはいったけど…」
「うんー…」
こいつ女心わかってねぇなぁ〜と保は思う。
「保…助けて…」
「はいはい」
ソラ・オーラの入ったグラスをルイの横顔からローテーブルに移動させる。
「助かったわ」
「うん。まぁ…」
保はルイを見て
「もうちょいかかるかな?」
と言う。
「ん?」
「いや?なんでもないでーす。ま、ちょっと焦ったいと思うときはー何回もあるけど」
「はあ」
よくわからん。みたいな感じのルイ。その後講義はなく、みんなでルイの家でまったりした。
nyAmaZonプライムで同席酒場を見て大笑いしたり、映画を見たりした。あっという間に陽は落ち始めた。
「私たちはそろそろ帰ろうか」
「そうだね」
「あれ?夜は食べて行かないの?」
「え、保、夜も食べてくの?」
「うんー。のつもりだったけど。5人で」
「5人?」
「そ。オレとルイとうたと那緒。そしてルビーちゃん」
「あぁ、なるほど」
「てか保、夜ご飯いいの?お母さんの負担減らすためって言ってたじゃん」
「あぁ、まあ、夜は多少へーき。ま、夜もオレが作るよ?基本。
でも朝のほうが大変だろうから朝はマスト。夜は妹もいるし、弟、妹に任せてとかできるから」
「そうなんだ?」
「だからうたと夜も料理作って、ま、昨日はルビーちゃんに手伝ってもらったけど」
「そうなんだ?じゃ、買い物行く?」
「行こっか」
「那緒はどうする?私は一緒に食べて帰ろうって思うけど」
那緒は考える。ルイと一緒に夜ご飯。妹のルビーちゃんもいる。…もはや家族じゃん。那緒の頬が少し色付く。
「食べて…行こうかな?あ、でも家に連絡はしなきゃ」
「それは私もだよ」
「オレもよ」
「じゃ、とりあえず保と買い物行ってくる」
と言うとルイは
「あ、じゃあ保。オレのベッドルームからオレの財布取ってきて」
と保に頼む。
「あ、うん」
保がソファーから立ち上がり、リビングを出てしばらくしてから、ルイの財布を片手にリビングに帰ってくる。
「ほい」
ルイは財布を受け取り、中から1万円札を取り出して保に差し出す。
「これで買ってきて」
「うっす」
保は慣れた手つきで受け取る。
「いつもそうなの?」
那緒が不思議そうに聞く。
「いつもはルビーちゃんに貰うんだけどね」
「料理作ってくれるし、さすがに材料費ということでって。渡さないとルビーに怒られるし」
「へぇ〜」
「じゃ、いってきます!」
人差し指と中指に1万円札を挟んで腕を挙げる。
「いってきます!」
歌乃も手を挙げる。
「いってらー」
「いって…らっしゃい」
玄関の扉が閉まる。テレビの音が響く静かなリビング。
那緒はふと気づく。今ルイと2人きり?変に緊張する。足と足を擦り合わせたりする。
「那緒ー」
「ひゃいっ!」
急に名前を呼ばれてびっくりする。
「なんだその声」
那緒からは見えないが、ルイはソファーに寝転がったまま、那緒の声に思わず笑顔になる。
「な、なに?」
「オーラちょーだい」
ソファーの背もたれからにゅっっとグラスが出てくる。
やれやれといった様子で那緒が立ち上がりグラスを取る。
「ちょっとは動いたら?」
「那緒だから頼んでんじゃん」
那緒はキュンとする。ときめいた顔をする。チョロい。しかしすぐ気づき、ジトーっとした表情になる。
「保にも頼んでるくせに」
「あ、バレた?」
「もうっ」
ふんすこしながらキッチンへ行き、ソラ・オーラを注いでソファーへ戻る。
「はい!」
「ん。置いといて」
仕方なくローテーブルへ置く。
「あ、でも」
ルイは寝転がったまま那緒を見上げる。
「ん?」
「那緒のこと大切だってのはマジだから」
「え?」
ルイの眠そうでダルそうだけど力強い眼差しと本気の言葉に那緒の心臓が跳ねる。
「な、なに急に」
「オレにとっては那緒も保もうたも、ルビーと同じくらい、家族と同じくらい大切なの」
と言いながら仰向けになるルイ。なんだ。そーゆー意味か。と残念な那緒だったが半分は嬉しい那緒だった。
「たっだいまー」
「ただいまー!」
保と歌乃が帰ってきた。
「おかえりー」
「おかえり」
「なんかいいね」
「でしょ?住む?みんなでルイん家(ち)住む?」
「あり」
住む?ルイの家に?てなるとお風呂上がりのルイとか
「那緒ー牛乳入れてー」
寝る前のルイとか
「はぁ〜…あ。眠っ。ソファーで寝るわ」
「もう。自分の部屋で寝なよ」
「運んでくれ」
そんなのを想像し、勝手に赤くなる那緒。
「まあ、部屋あるけど…。家族寂しがるだろ」
「なに?エロいことでも想像した?」
とニヤける歌乃。
「は?は!?してるわけないじゃん!」
那尾の声に静かにびっくりする保。保と歌乃はキッチンへ移動し、2人で料理を始める。
「ただいまぁ〜…っと?」
ルビーは玄関に靴が複数あるのに気づく。リビングへ入る。
「お!ルビーちゃんおかえり」
「あ!ルビーちゃん!おかえり〜」
「お邪魔してます」
「おぉ、たもっちゃんにうたちゃんに那緒ちゃん。今日は勢揃いだね」
「そうそう。今日もルイ講義来なくてさ、でうたも那尾も一緒にいたから
お昼ご飯作りに行くけど来る?って言ったら行くって言うから。んで今に至る」
「なるほどね。あ。材料費お兄から貰った?」
「貰った貰った。お釣りはテーブルに置いてあるよ」
「あ、なら良かった。じゃ、着替えてくるわ」
「はーい」
ルビーは自分の部屋に着替えに行った。
「ルビーちゃんひさしぶりに会ったなぁ〜。さすがハーフ。相変わらずの可愛さ」
「綺麗さも兼ね備えてるしね」
「それな!ズルい!」
「うたは別にもういいでしょ。保がいるんだから」
「そうだよ?オレは今のうたが好きなんだよ」
「保ー」
まだ料理の途中ですがお腹いっぱいです。
「ういぃ〜」
ルビーが部屋着でリビングへ来る。キッチンへ行き
グラスにココティーのレモンティーを注いでダイニングテーブルへ行く。
「できたよぉ〜」
夜ご飯の出来上がり。
「お兄ー?できたってー」
その言葉でルイがソファーから立ち上がる。
「あ、私も手伝うよ」
那緒も立ち上がる。
「あ、那緒ちゃんいいのいいの。お箸類はお兄に運ばせて」
「え?」
保が料理を持ってきながら
「お箸とかそーゆーのの準備はルイの仕事なんだって」
と言う。
「へぇ〜。珍しい光景だと思ったけど、袴田家では普通なのね」
歌乃のダイニングテーブルに料理を置く。ルイも全員分のスプーンやお箸などを運んでくる。
「おぉ〜美味しそう」
パエリアと他数品が並ぶ。
「保と私の特製料理です」
「あぁ、バカップル料理か」
「おい」
「おい」
「バカップルだけど料理は天下獲れるからな」
「じゃ、いただきます!」
「いただきまーす」
みんな手を合わせてスプーンやら箸やらを伸ばす。
「んん!最高!うたちゃん天才!」
「お!良かった良かった」
「一応オレも作ってるからね」
「保も料理うまいよね」
「教えてあげようか」
「まさか保に教えられることがあるとは…悔しいけど」
ドヤ顔の保。
「あぁ〜貝殻投げつけたい顔面」
「那緒ちゃんやっちゃえ」
和気藹々、楽しく盛り上がり夜ご飯を食べた。みんな(ルイ)以外が食器類をキッチンへ運ぶ。
「あ、いいよいいよ。洗うのはやるから」
とルビーが言う。
「あ、なら私も手伝うよ。洗い物くらいは」
那緒も手伝う。
「んふふ」
洗い物をしながらルビーが笑う。
「どうかした?」
笑顔でルビーに聞く那緒。
「え?いや?なんかいいなーって」
「なにが?」
「ん?那緒ちゃんお姉ちゃんみたいで」
那尾ちゃんお姉ちゃんみたいで…那尾ちゃんお姉ちゃんみたいで…
その言葉が何度も頭の中を繰り返す。
那尾ちゃんお姉ちゃんみたいで…那尾ちゃんお姉ちゃんになってほしい
変換された。
「え、いや…ねぇ」
勝手に照れている。洗い物が終わり
「じゃ、オレらは帰るわ」
「うん」
と帰る支度をする3人。
「え、もう少しいればいいのに」
「もう少しいたら帰れなくなる。お腹いっぱいだし」
「そうそう」
「そっかー」
支度を終え
「じゃーなールイ。また来るから」
「またねールイー」
「またね」
「お兄。帰るって」
「聞こえてるー」
上半身を起こし、ソファーの背もたれに顎を乗せ
「またなー」
と言うルイ。
「可愛いな」
「それな」
静かに可愛いと思う那緒。4人は玄関まで行き、3人は靴を履く。
「今度みんなで泊まりにきなよ」
「お、いいね」
「いいねぇ〜。ルビーちゃんの恋バナでも聞く?」
「うたちゃんうたちゃん。それよりぃ〜?」
ルビーは那緒に視線を移す。
「なるほど?いい案だね」
ルビーを歌乃は企み顔をする。
「じゃ、またねぇ〜お邪魔しましたぁ〜」
「お邪魔しましたぁ〜ルビーちゃんまたねぇ〜」
「お邪魔しました」
「みんなまたねぇ〜」
手を振る。玄関の扉が閉まる。鍵を閉めてリビングに戻るルビー。ソファーに行き、ルイの長い足を退け座る。
「そっか。今日このドラマやるんだ」
リモコンで番組表を開いて眺めるルビー。
「めちゃくちゃ眠い」
大あくびをするルイ。
「寝れば?」
「いいの?」
「いいよ?」
「じゃ、おやすみぃ〜」
寝ようとするルイ。
「ウケる」
笑いながらパチンパチンと自分の太ももの上に乗っているルイの足を叩くルビー。
「ねぇ。寝れない」
「寝てもいいっていっただけで寝かせるとは言ってない」
「なんだそれ」
「ルビー様に付き合いなさい」
「ルビー様に付き合いなさい。なんかアニメありそう」
「たしかにありそうなタイトル。あ、アニメ見る?それもありだね」
「9時から見るドラマあるんでしょ。時間ないって」
「いや、5分とか10分のアニメもあるから」
相変わらずルイ、ルビー兄妹は仲良く過ごした。