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天垂 勿月
・四季君女体化注意!!
・羅刹卒業後
・四季君は練馬区戦闘部隊に所属
・四季君は女の子だけど、馨さんは「四季君」呼びしてます!!
一ノ瀬四季は自己肯定感が低い。
いや、殆どないの方が正しいだろう。
一ノ瀬四季。彼女は高く伸びた背丈、女子と言うには逞しい身体付き。高校でのヤンキー紛いの喧嘩三昧。それら全てを戦闘へと費やす。
炎鬼の力だけでなく、他の全てを武器にして闘う。
その上、自身のその身がどれだけ傷付いていようと骨が折れていようと、助けを求める声が聞こえたら手を取る為に立ち上がる。
そんな彼女に助けられた人はどんな気持ちだろうか。
擦り傷程度で腰が竦み、助けを求め叫ぶ。それを聞いて駆けつけたのが自分よりもボロボロで、至る所に血がついている彼女だったら。
四季に大丈夫かと心配される。自身よりも遥かに大丈夫ではない彼女に、民間人にはその傷がどんなに痛いのかわかる人なんて極僅かだろう。普通の日々を送っている奴には理解が及ばない。
自分よりも強い相手。身を隠さずに堂々と道を闊歩して細菌を使う桃太郎。
銃や刀を使おうと、こちら側には人数が少なく隠密しなければいけない以上少なからず不利な事に変わりはない。
「一ノ瀬です。失礼します」
そう言って救護室のドアを開けるけども誰もいなかった。援護部隊の人は先刻までの闘いの救護に回されている。
後でまた来ようかと思ったが桃との戦闘で負った傷がズキッと痛んだ。
軽傷だからと治療を断ったは良いものの、普段と変わって傷の治りが遅く
仕方なしと上着を捲り右肩を露出させる。上着を歯で噛み締めたまま、乾ききった血と砂埃が付いている腕を水で洗い流した。
「ーーっ」
イッテェと叫ぶとこだった、歯を食いしばることで叫びが上着に吸い込まれる。痛い…自然と眉間に皺がよる。傷が増えてようとも痛みに慣れることは鬼にとっても無理難題だろう。
水分を拭きながら、消毒液をぶっ掛ける。傷口に沁みる消毒液は下へと垂れてズボンに染みを作った。
口で上着を掴んだまま、自らの腕に包帯を巻いていた。だが片手じゃどうにも上手く巻けない。利き手じゃないから尚更だ。不満を含んだ溜め息が籠り鈍った音がした。
「四季君、大丈夫…?」
後ろから不意に聞こえたその声に肩が跳ねた。恐る恐る背後を向くと見知った顔が俺を覗き込んでいた。
「かおるひゃん!?」
お疲れ様と言いながらさりげなく隣に座ってくる。馨さんに怪我でもしたのかと聞こうと思ったけど、その前に手に持っていた包帯が奪われた。
「え、かおるひゃん…?」
包帯ならあの箱にまだ入っていると言おうとしたのも束の間、その包帯を俺の腕に巻いてきた。
しかも俺が巻くよりも随分と綺麗に腕に巻かれている包帯。スゲェ…と言葉が溢れそうだったけど、上着が邪魔をした。
「か、馨さん。あの、ありがとな、包帯」
「…良いよ」
悲しそうに眉を下げて呟いた馨さん。
普段感情の変化を顔に出さない馨さんがここまで落ち込んでいる事に驚いた。
何か悲しい事でもあったのだろうか?もしくは俺が何かをしでかしたか…
「四季君…もうちょっとだけで良いから自分にこと大切にしてね」
俺の手を握ってそう言った。祈るかのように願うように寂しそうな顔で言った。シンとした空間に言葉が解けて言った。
そんな表情と空気に何も言えずに固まっていれば、その空気を壊すように『ガチャ』とドアが開けられた。
馨さんは驚きなどを一切見せない顔で手を退かして、入ってきた医療部隊の女性に事情を話してた。
…あの人、可愛いなぁ。
医療部隊の女の子達の髪は後ろでお団子にしているものの、明るめの優しい茶色だったり艶のある黒だった。
伸びた指は細くて薄くネイルが施されていた。若竹色に似た色は今目の前で話している相手の色だろう。
馨さんは俺が見ても分かるほどカッコいいし、物腰だって柔らかで上司に当たる真澄隊長の優秀な右腕でもある。まぁ言わずもがな女性人気は高い。
その為か援護部隊の女性2人の頬は薄く染め上がり、浮き足だっているのが窺える。仕事中なんだからそう言うのはどうなんだろうかな〜、と四季は薄々思うけど自身が誰かを思うことが生まれてこの方一度もなかったから、何も言うことが出来ない。
恋でもできたらなんか変わってたのか…?
ふと自分の手を見ながら思った。手入れをされてるとは言い難く、武器を握る故にマメはできるし切り傷だって多い。爪は彩られては居ないし短く削られて手も大きい。
血蝕解放もするから皮膚は固い…要するにボロボロだった。
屏風ヶ浦や漣も自分より綺麗な手をしている。2人よりも鬼として発症したのが遅かった俺はその分扱いが下手だった、真澄隊長には頭も残念だからと罵られたけど…
だからその分、2人よりも手は大きいし硬いし太い。
まぁ、それでも構わない四季の夢は鬼と桃が肩組んで笑い合える世界。鬼も桃も人も救う事。決して女の子らしくなりたいわけではない。
だからそれでいいのだ。体付きがゴツかろうと鬼機関としては有利だし、攻撃してくる桃を1人でも多く制圧できるのならそれで十分。
親父に胸張って自慢できることが1番。
四季はそう思っている。
「並木度副隊長…すみません、お気遣いありがとうございました。俺はもう大丈夫なので失礼します。」
この救護室に自分は少々お邪魔なのようなので早々と退出しようと立ち上がる。その瞬間に見えた彼女達の視線。
『なんでアンタが』
『勘違いしない方が身のため』
『身の丈を考えないさいよ』
高校でも中学でも見た。自分を非難し嘲るような目付き。
あぁ、やはり自分は生まれてくる性別を些か間違えたようだ。
コメント
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四季くんを傷つける事など誰にも許されてないぞ! 本当に最高でした! 次回も楽しみに待ってます!
四季くんのことを傷つけた人がいるなら僕がッッ( ᐕ)🔪 今回の新作もめっちゃ面白かったッッ✨ 続き楽しみにしてるね〜!!