僕はぼそっと「ありがとう」と口に出した。そして、素朴な疑問を思いつき、つい口に出してしまった。
「佐藤くん。昨日までに提出の課題出したの?」
その課題とは、鬼教師と言われる国語科担当如月先生の絶対提出の課題だった。
「出さないと…わかるな?」
皆圧をかけられて、次の日には終わらせていた。佐藤くんを見ると、佐藤くんは少し青い顔をしながら僕の後ろを見た。僕が振り返ると、そこには如月先生がいた。
「おい、佐藤」
佐藤くんはビクッと肩を震わせて僕を盾にした。
「おい」
腹の底から低い声を出した。こんな低い声を出したのは初めてだ。佐藤くんは僕を盾にしたまま如月先生から身を守ろうとしていた。しかし、如月先生の魔の手は佐藤くんの首根っこを掴んだかと思うと僕から引き剥がした。
「拓馬、た…助けてくれ…」
絞り出すようなか細い声を出す佐藤くんだが、それは届かず如月先生に引きずられていった。命運を祈る。
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