シンシンと静かに降り積もる雪の日だった。アリスは、聖パッセンジャー・ビジョン大学付属古代図書館の一階で、様々な本に囲まれながらシンクレアと単位認定試験の勉強をしていた。試験まで後、二日しかないという現実がアリスの頭を悩ましていた。
無音とまではいかないが、静寂の図書館には、同じ聖パッセンジャー・ビジョン大学の学生もちらほらと見える。アリスは皆、同じなのだろうと思うと、少し滑稽な気持ちになって来た。
広いテーブルに座るアリスは、無造作に本の山を作っていた。調べることが多すぎるのだ。その本の山の上に、同じ大学にいるシンクレアの兄の一人ロイが、笑いながら、もう一冊を置いていった。
「アリス。これ読んでみろよ。面白いぜ」
「まあ! ロイ! あっち行って!」
アリスの隣で、勉強をしているシンクレアが激昂した。
アリスはシンクレアも単位認定試験への調べものの多さに、ストレスが溜まっているのだろうと思えた。
「……ロイさん。今は見て分かる通り。私も勉強中なのですよ」
ロイをシンクレアがシッシっと手で追いやると、アリスは静かに本の山とノートの世界へと再び入っていった。
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