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それは、突然だった。
気付いたときには、暗闇の中に鉄格子から差し込む僅かな光だけ。何も見えない。まるで、すべてを飲み込んでしまいそうなほど、暗かった。そして、腕や首、足元に違和感を覚える。確認すると、鎖が繋がっていた。
「何があったけ…」
遡ること、一時間前。
「葵、バスケの練習終わったらちょっといいか?話があるんだ」
そういったのは昔からの付き合いの威吹だった。話とは、なんだろう。そう思いつつ、「いいよ」と返事をした。その後何が起こるかも知らずに。
―練習終了後ー
「で、何?話って」
そういった瞬間、ナニカを飲まされた。突然のことだったため、飲み込んでしまった。目の前が暗くなる。意識が遠くなる―
「ああ、そうか。威吹に閉じ込められたんだ―。」
未だに現実を受け入れることができない。何故監禁したのだろうか。そのようなことを、知る由もない。
「キイイイイ。」
鉄製のドアが開く音がした。音が聞こえたほうを見る。
「気分はどう?」
威吹がいた。灯りが同時についた。眩しい。威吹を見ると、いつものやさしい目つきではなかった。無邪気で、嬉しそうで、狂気的な目だった。
「…」
聞きたいことが山ほどあるのに、声が出なかった。知らない相手を前にするように。
「ねえ、聞いてるんだけど」
威吹がじりじりと近づいてくる。怖い。
「…なんか、いえよ。」
胸ぐらを掴まれた。ここでやっと、声がでた。
「こ、わい」
必死で絞り出した声がこれだ。嫌な気がする。
「そっか。じゃあ、なんでだと思う?」
「え、なんでって、いわれても…」
言葉が詰まる。全くわからない。
「そもそも、葵のせいなんだよ?オレがここまでするのも、ぜんぶぜーんぶ葵のせい。」
「なに、したんだ?俺が…」
「わかってないんだ。へえ、そうなんだ。じゃあ教えてあげる。学校でオレに喋りかけないときあったよね?翔とか海とかにちょっかいかけてばっかでオレになーんもしてこなかったよね?」
「っ…」
威吹は笑っている。でも目が全く笑っていない。こんな威吹、しらない。
「だからさ、葵にはお仕置きしたいんだ。ついでに、オレに堕ちてもらおうと思って」
ここでやっと違和感に気付く。威吹の目がいつもの茶色ではなく、金色の目になって光っていた。それはまるで狼のように。
「な、なあ威吹。その目、どうしたんだ…?」