改めて見つめると、宮内の体は、鎖骨が浮き上がり、胸も腹も縦にきちんと割れていた。
力が入る箇所の筋肉が、骨が、盛り上がるさまは、女の陽子から見ると、神秘的で魅力的だった。
自分の上で揺れるその魅惑的な身体の、過去との相違点が探せない。
それもそのはず。
22歳の陽子は、行為中、きっとずっと目を瞑っていたのだ。
好きな男に見下ろされるのが恥ずかしくて、
悶える自分が照れくさくて、
熱い快感に耐えられなくて、
いつもきつく目を閉じていたのだ。
いいところをピンポイントで探り当てられるたび、敏感なところを強く刺激されるたび、快感に瞑りそうになる目を、必死で開ける。
ほんの一瞬でも目を逸らすのが惜しくて、悔しくて、必死に彼を見つめる。
やみくもに前後に動かすのではなく、角度、強弱をつけてかき回す彼の腰に手を当てる。
その顔が、陽子を見つめ、潤んだ瞳にキスを落とす。
(あのとき。私が、少しでも目を開けていたら……)
その瞳を見つめ返しながら陽子は思った。
(彼の瞳を見つめていたら………きっと勘違いなんてしなかったのに……)
彼の、熱くて、優しくて、切なく潤む瞳を見てから…。
陽子はやっと目をつむり、意識を手放した。
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