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14 - 第14話

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2024年12月31日

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朝の館内アナウンスが流れ、全員がロビーに集まるように指示があった。彼はTシャツとジーンズのまま、ロビーに向かう。部屋を出るとき、今度はどんなミッションが待ち受けているのかという不安と期待が心の中で交錯していた。

ロビーに着くと、既に多くの参加者たちが集まっていた。彼は周囲を見渡し、ほとんどの人が昨日のファッションショーとは違って、カジュアルな服装をしていることに気づいた。女性らしいドレスやスカート姿の者は少なく、ほとんどの人がラフな服装に戻っていた。彼はその光景を見て、少しだけ安心感を覚えた。みんなが同じようにこの状況に戸惑っているのだと思うと、自分だけが特別ではないという気がしてきた。

「お集まりいただき、ありがとうございます。」

係員が前に出てきて、ミッションの説明を始めた。

「次のミッションは二人一組のペアになって行います。ペア同士で協力し合い、ミッションをクリアしてください。それでは、今からペアを作る時間を取りますので、お互いに話し合って決めてください。」

ロビーに軽いざわめきが広がった。参加者たちは互いに視線を交わし始め、自然とペアを組もうと動き出す。彼も周囲を見渡し、自分と組んでくれそうな人を探した。

だが、女性らしい服装をした人たちは、同じように女性らしさを演じている者同士でどんどんペアになっていく。彼は取り残されている自分に気づき、焦りを感じ始めた。もしペアが見つからなかったらどうなるのか?その不安が彼を急き立てる。

「どうしよう…」

彼が途方に暮れていると、一人の女性が彼に近づいてきた。彼女はゆったりとしたパーカーを着て、胸元を隠そうとしているようだったが、その下には隠しきれない大きな胸がわずかに揺れているのが見えた。彼は思わずドキッとしたが、すぐに彼女の顔に見覚えがあることに気づいた。

「あ…君は…」

彼は言葉を失った。彼女は昨日、隣の部屋で話しかけたことのある人物だった。彼女もまた、女性の体になったことに戸惑い、部屋で泣いていたあの女性だ。

「一緒に組もうか。まだペアが決まってないみたいだし、僕もどうしていいか分からないからさ。」

彼女は少し照れたように笑みを浮かべて言った。彼はその言葉に救われた気がした。

「いいのか?俺なんかで…」

彼は思わず口にしたが、彼女は軽く肩をすくめて答えた。

「お互い様だろ。こんな状況なんだから、誰だって不安だよ。でも、一緒に頑張ればなんとかなるんじゃないかって思うんだ。」

彼はその言葉に心が軽くなるのを感じた。彼女の落ち着いた表情と、自然な態度が彼に安心感を与えた。二人なら、この奇妙なミッションも乗り越えられるかもしれない。

「ありがとう、頼りにしてるよ。」

彼は笑顔でそう言うと、彼女も頷いて微笑んだ。こうして、二人はペアを組むことになった。次に何が待っているのかはわからないが、少なくとも彼は一人ではないということに勇気を得た。彼は隣に立つ彼女を見て、次のミッションに向けて心の準備を進めた。

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