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二人がペアを組むことを決めてから、ロビーの隅にあるテーブルに移動し、落ち着いた雰囲気の中で座っていた。周囲では他のペアたちも集まり、軽い会話が交わされている。主人公と彼女、いや、アキラも自然と自己紹介を始めた。
「俺、もとは大学生でさ、まあ、特に目立つわけじゃないけど、普通にサークル活動とか楽しんでた。友達と飲みに行ったり、普通に過ごしてたんだ。」
彼は自分の過去を思い出しながら話し始めた。つい数日前までは、男性として普通の生活を送っていたのに、今はこうして女性の体になってしまっていることが信じられない思いだった。
「へえ、大学生か。俺も大学時代はそうだったな。今は仕事してるけど、割と体育会系の職場でさ。筋トレとか好きで、ジム通いが日課だったんだ。」
アキラがそう言って笑った。彼女の肩幅が広く、筋肉質な体つきをしているのは、そのせいかと彼は納得した。パーカーの下で控えめに揺れる大きな胸とは対照的に、彼女の言葉にはまだ男性的な強さが感じられた。
「そうだったんだ。俺も筋トレ好きで、時間があるときはジムに行ってたよ。でも、こんな体になっちゃって、正直どうしていいか分からないよな。」
彼は苦笑しながら言った。アキラも同じ気持ちのようで、頷いた。
「ほんとだよな。俺もこの体になって、初めはどうしていいか全然分からなかった。昨日、あんたが隣の部屋で声かけてくれた時も、正直助かったよ。誰かに話を聞いてもらいたかったんだ。」
アキラの言葉に、彼は少し照れながら微笑んだ。お互いに同じような境遇にいることが、何となく心強く感じられる。
「そうだ、ファッションショーってどんな感じだったんだ?俺、あの時部屋にこもっちまってて…参加する勇気が出なかったんだよ。」
アキラが興味深そうに尋ねた。彼は一瞬言葉に詰まりながらも、ファッションショーのことを思い出して話し始めた。
「うん、正直言ってかなり緊張したよ。最初にステージに上がるときは足が震えてた。でも、周りの視線を感じながら歩いて、女性らしく振る舞おうとするのがミッションだったんだ。視聴者がオンラインで見てて、投票とかされてたみたいで、結果がその場で分かるんだよ。俺は途中で何度も自信を失いそうになったけど、まあ、なんとかやり切ったって感じかな。」
彼の話を聞きながら、アキラは真剣な表情で頷いた。
「やっぱり、そんな感じか…。俺も参加しておけば良かったのかな。昨日は自分の姿を見たくなくて、逃げてしまった。でも、次は逃げられないよな。」
アキラの目には決意の色が浮かんでいた。彼もまた同じ気持ちだった。自分たちはこの状況を受け入れて、前に進むしかないのだ。
「次のミッションがどんなものか分からないけど、お互い頑張ろうぜ。きっと、何とかなるさ。」
彼がそう言うと、アキラは笑顔で頷いた。二人の間には奇妙な連帯感が生まれていた。お互いに元は男性であり、女性の体になってしまったことに戸惑いながらも、ここからどうにかして抜け出そうとする決意が共有されていた。
「そうだな、頑張ろう。ありがとう、こうやって話せて良かったよ。」
アキラの言葉に、彼は少しだけ安心感を覚えた。次のミッションに向けて、二人は心を一つにして挑む準備が整っていくのを感じた。