テラーノベル
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pnside: rd「 」 pn『 』
「ついに今日だね」
『うん』
病室で俺を見ながらそう言い放つ彼の背中は少し寂しそうだった。
今日の夜俺らはここから飛び降りる。
らっだぁと話せるのも今日が最後。
最近は体の調子も悪くて車椅子がないと移動も出来ないほど弱っていた。
それでもらっだぁは俺を見捨てるなんてことを絶対にしなかったし今日の今まで優しくしてくれた。
「だいすきだよ」
『うん 俺もだいすき』
「最期まで俺を傍に置いてくれてありがとう」
『こちらこそこんな俺のこと愛してくれたのはらっだぁだけだよ』
俺がそう言った時、らっだぁは俺を見て優しく微笑んでくれた。
きっと彼こそが運命の人だったのだろうと思ったし何度も自分が病気であることを恨んだ。
rdside
『らだ〜飲み物買ってきてほしい…』
「いいよ 何がいい?」
『ぶどうジュース!!』
「わかった 笑ヾ」
「待っててね」
『うん!! 』
彼女のお願いも今日あと何回聞けるか分からないのだから全て笑顔で引き受けたい。
「お待たせ はいヾ」
『ありがとう!! 開けてくれる…?』
「うん どーぞ」
『ありがとうらだ!!』
「ねぇ ハグしていい?」
『ん? いいけど…?』
「ありがとうヾ」
『えへッ あったかいね 笑ヾ』
「そう? 笑ヾ」
俺の背中に彼女の小さな手が触れてどこか安心している自分がいる。
最期の時間までまであと2時間。
天国とか地獄とか、前世とか来世があるのか分からないけど俺らはまたどこかで会えると思う。
性別や国籍が違っても、また人間に産まれなくても俺が必ず彼女を見つけに行く。
pnside
「ぺいんと 時間だね」
『うん 行こっか』
どこか神妙な雰囲気が漂う中、俺達は屋上へと向かった。
らっだぁはいつもよりゆっくり車椅子を押しているような気がした。
屋上に繋がる扉を開けると夜になって涼しくなった風が首元を通った。
らっだぁにお願いして車椅子から下ろしてもらい俺らは建物の端に座った。
「ぺいんとに出会えて良かった」
『俺もらっだぁが今隣にいてくれて嬉しい』
「それは良かった」
『ねぇ らっだぁ』
「ん?」
『半年前にデートでパワースポット行ったの覚えてる?』
「うん 願い叶えてくれるやつだよね」
『あれにね、俺、らっだぁと何があってもずっと一緒に居たいって書いたんだ』
「そうだったの?」
『うん 来世でもまた出会えるように』
「俺は ぺいんとの願いが叶いますようにって書いたな〜〜」
『つまんな 笑ヾ』
「いいでしょ 笑ヾ」
『…きっと叶えてくれるよ』
「そうだね」
今ここでらっだぁは死なないし死なせない。
「…そろそろいく?」
『…うんッ ぐすヾ』
『最期にぎゅーしたい…』
「いいよ そのまま降りる?」
『うんッ 泣ヾ』
「泣かないで? ヾ」
「可愛い顔が台無しだよ」
「最期は笑顔で終わろう?」
『うんッ ぐすヾ』
『だいすきだよ』
「俺も愛してるよヾ」
彼に優しく抱きしめられた瞬間___
ガンッ
彼はそのまま足で俺らを押した。
俺もらっだぁもお互いを見つめ合っていて地面にだいぶ近くなった時に彼はもう身体にかかる圧力に負けて気絶してしまっていた。
『愛してたよ ッッ !!』
バンッッッ !!!
ぺいんとさん。
無事にあなたの作戦は成功しました。
自分の命すら失ってまで彼を守りたいあなたの意志は素晴らしい。
rdside
「……ッ?」
[ お目覚めになりましたかッ!! ]
「え…. なんでッ….」
[ こちら 彼女さんから預かっています ]
「なに… これ…」
俺死んだはずじゃ ッ 、
彼女からって何?ぺいんとは?
「すみません… 俺の彼女は?」
[ …右をご覧になってください ]
言われた通りに右を見た。
「はッ…. ___ 」
そこには彼女の笑顔が映った写真と彼女の骨の1部が入っているであろう白い小さな入れ物、そして1輪の花と供物が置かれていた。
「…亡くなってしまったんですか」
[ はい。 ]
[ それはお2人が飛び下りる前日にわたしが彼女さんから預かっていた手紙なんです。 ]
「…今読んでいいですか」
[ どうぞ ]
『 俺の彼氏 らっだぁへ
この手紙を読んでいる頃、俺はこの世にいません。
えへ、これ使ってみたかったんだ〜 笑
らっだぁは今どんな気持ちでこの手紙読んでるのかな
きっとなんで生きてるのか不思議に思ってるよね。
ごめんね。それ俺が仕掛けたんだ。
俺はもうどちらにせよ死んでたけどらっだぁはどこも悪くないし生きていてほしかったからある人にお願いして地面に着く直前にマットを敷いてもらったんだ。
俺も助かってただろうけどらっだぁはそのまま俺が死ぬまで寝たきりになるように睡眠剤打ってもらってた。
らっだぁは今元気?どこも痛くない?
きっと怒ってるよね。でも俺の最初で最後のとんでもない我儘をきいてほしかったの。
らっだぁがおじいちゃんになって天国に来るの待ってるからね。
来世では結婚しようね。
ずーっとずっと愛してるよ
らっだぁの彼女 ぺいんとより 』
「…ッッぺいんと 泣ヾ」
「なんでッ 1人にしないでよッ!! 泣ヾ」
「ねぇってば… 泣ヾ」
「おれ゛ッッ おまえがいなきゃッッ!!」
「なに置いてってんのッッ!! 泣ヾ」
ミーンミンミン …
ぱしゃッ ヾ
「あっつ….なにこれ」
「今年もまた最高記録叩き出してるよ」
「ほんと焦げそう…」
「…ッそっちでの生活はどう?」
「…….そっか、」
「今年もぺいんとが好きな勿忘草置いとくね 」
「これ花言葉知った時泣いちゃったよ 笑ヾ」
「まだそっちに行くのは後だからしばらく会えないけど…」
「愛してるよ」
「俺のことも忘れないでね」
勿忘草
花言葉 私を忘れないで
END
episode3を最後までご愛読くださりありがとうございました。
今回はバッドエンドの物語を書かせて頂きましたがいかがでしたか?
是非感想など長文であっても沢山読みたいのでコメントくださいお待ちしています !!
次作 episode4
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝ ♡ 1000 💬 2
コメント
5件
ハァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ⤴︎⤴︎⤴︎😇😇😇ちょ、やばいです…最後の花言葉見た瞬間息吸いまくって逆に過呼吸。え、なに?尊い。唐突に尊いが…😭😭😭え、マジでれあさんのこういう系のお話ガチ好きです💖💖💖病院側もpnちゃんに協力してるのがrdへの愛を感じる✨✨✨もう胸締められすぎてやばい、マジで語彙力ない。この気持ちを言葉にできないことが悔しい。普通にpnからの手紙が1番効くんだよ。もうpnンンンンンンンンン‼︎‼︎rdァァァァァァァァァァァァァァ‼︎‼︎って感じ(←どんな感じ?)episode3も最高でした✨✨✨こんなにも最高なものをありがとうございます!!!🙏🙏🙏
全部見させてもらいました…普通に涙止まんなかったし、最後に飛び降りたとき、2人で幸せにタヒんで終わりかと思ってたら、まさかpnさんがそんな仕掛けを仕込んでたなんて思ってなくて、本当にお話を考える神だなと改めて再認識させていただきました…!これからも頑張ってください!、