テラーノベル
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それから、距離ができた。
でも——
「……庭、行かないか。」
久しぶりに誘われた。
夜の庭。
芽が出ている。
俺と仁人の初めての共同作業。
「ちゃんと育つんだね。」
「時間をかければな。」
その言葉が、妙に残る。
切り出す。
「最近、避けてるでしょ。」
「……否定はしない。」
「なんで。」
「……お前のせいだ。」
「距離が、近すぎるんだよ。」
そう言いながらも、今日は離れない。
「この前のことがあっても、逃げないんだな。」
「逃げたくないから。」
「なんで。」
少し考えて。
「嬉しかったから。」
「……ずるいな。」
手を取られる。
「逃げないなら。」
引き寄せられる。
「こっちも、遠慮しない。」
唇が、触れた。
一瞬のキス。
「……これ以上は、だめだ。」
「大切なお前を、壊してしまう。」
「……もうとっくに壊れてるよ。」
小さく笑う。
「俺も、仁人も。」
その瞬間、今まで我慢してた、見てみぬふりをしていた気持ちが溢れる。
「……好きだよ、仁人。仁人の不器用さの中にある優しさとか、意外と繊細なところとか、怒ったり不満があるときはほっぺを膨らますところとか、クズ人間の俺を、大事にしてくれてるところとか。全部、全部好きだよ。」
「だから。」
「だから、俺を仁人の一部にしてほしい。」
仁人のすべてを理解した顔を見て安心する。
——ああ、最後の主人が仁人でよかった。
——鋭い痛み。
でも、怖くなかった。
強く抱きしめられて逃げれない、いや逃げるなんてそんな愚かな行動思い浮かばない。
人間からは感じることができない体温の冷たさが異常に心地よかった。
「……なんで……」
泣いている声。
泣かないで。
仁人には笑っててほしいよ。
「……ここにいれて、よかったよ。」
意識が遠くなる。
「……最後に名前、仁人が…付けてくれた名前…呼んで…?」
「…はやとっ、勇斗、勇斗!勇斗!!」
嬉しい。実は名前を付けてくれた時以来、名前を呼んでくれていないの、気にしてたんだあ。
なんておちゃらけを仁人に言う気力もなく、
震える唇が、もう一度触れた感覚で、幸せが胸に広がった。
それが、最後だった。
——翌朝。
屋敷は、また静かになった。
庭の片隅。
小さな芽だけが、風に揺れている。
その前で。
仁人は、ただ立ち尽くしていた。
もう二度と、その名前を呼ぶことはないまま。
End
バドエン好きなんでつ……。
If story書くか迷う🤔(ハピエン)
ネタ切れなのでリクエスト欲しいです‼️🙇
コメント
1件
喪失感えぐい🤦♀️ ハピエン読みたいです😫