テラーノベル
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ユキ
28
昔の気持ちがよぎったのは一瞬で終わった。
ヤマは私を見るなり、笑って言った。
「俺、やっぱお前が好きやわ。」
少し間を空けて、続ける。
「お前もやろ?」
その言葉を聞いた瞬間。
私は何も言えなかった。
違う。
そうじゃない。
何を言ってるんやろ。
そんな気持ちだった。
あの頃のまま。
時間が止まっているのは、ヤマだけだった。
私は、この何年かでたくさん泣いて。
たくさん悩んで。
やっと前を向けるようになった。
でもヤマは、まだあの日の続きを生きているように見えた。
少しくらいは大人になっていると思っていた。
そう期待した私が、少しだけ馬鹿だった。
結局その日は、他愛もない話を少しだけして帰った。
家へ向かう帰り道。
もう振り返ることはなかった。
思い出は、思い出のままが一番きれいなんだと。
その夜、私は初めてそう思えた。
コメント
1件
うわぁ…このエピソード、胸がぎゅっとなったよ😢💔 ヤマの「お前もやろ?」って言葉、一瞬で過去に引き戻そうとする感じが切なすぎる… でも主人公はもう止まってないんだよね。たくさん泣いて、悩んで、ちゃんと前に進んでる。 「時間が止まっているのはヤマだけ」って一文がめっちゃ刺さった…。 思い出はきれいなまま、ってそう思えるまでにどれだけの時間がかかったんだろう😭✨ 最後の「振り返ることはなかった」、すごく強い決意を感じたよ…!