テラーノベル
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まだ恋にはならない。
まだ届かない。
でも少しずつ何かが変わり始める頃
あれから。
トムは面白いものを見つけた人みたいになっていた。
「りゅうき」
「んー?」
「たくと先輩好き?」
りゅうきはパンをかじりながら答える。
「好きやけど」
即答
「どんな風に?」
「優しか!」
うん。
「かっこよか!」
うん。
「安心する!」
うん。
「大好き!」
うん……?
トムは頭を抱えた。
本人だけが分かっていない。
「それ恋やない?」
「違う」
即答。
なんで。
「だって先輩よ?」
意味不明だった。
トム
(何言ってんだ?)
一方その頃。
たくとは今日も生徒会室にいた。
仕事中。
なのに。
コンコン。
扉が開く。
「先輩ー!」
来た。
りゅうき。
たくとの表情が柔らかくなる。
副会長・書記
(出た)
全員思う。
分かりやすい。
「どうしたの」
「差し入れです!」
机の上にジュースを置く。
「文化祭の手伝いしてくれたけん!」
たくとは少し驚く。
「覚えてたの?」
「当たり前ですやん笑」
りゅうきが笑う。
その笑顔だけで。
たくとの一日は報われる。
本当に。
簡単に。
「ありがとう」
「へへ」
でも。
その日の帰り道。
事件は起きた。
たまたま見かけた。
駅前。
りゅうきが知らない男と歩いていた。
楽しそうに。
笑いながら。
胸がざわつく。
知らない人だった。
幼なじみじゃない。
友達かもしれない。
兄弟かもしれない。
でも。
もし。
たくとは視線を逸らした。
最低だと思う。
りゅうきには自由がある。
誰と歩こうが関係ない。
なのに。
苦しい。
その夜。
スマホが鳴る。
りゅうきだった。
『先輩ー!』
電話越しでも元気。
たくとは少し笑う。
「どうしたの」
『聞いて!』
また楽しそうな声。
好きだ。
どうしようもなく。
『今日さ、従兄弟と会ったんですよ!』
「……従兄弟?」
『そう!』
「駅前で?」
『なんで知っとるとるんですか!?』
たくとは黙った。
しまった。
『先輩?』
「たまたま見た」
『あー!』
りゅうきは納得した。
全然気づいてない。
「仲良いんだね」
『はい!』
たくとは小さく息を吐く。
安心した。
心の底から。
その時だった。
電話の向こうで。
りゅうきが不思議そうに言う。
『先輩』
「ん?」
『なんか嬉しそう笑』
たくとの動きが止まる。
『なんで?』
知らないよ。
あの知らない人がが従兄弟だったからだよ
君に恋人ができたんじゃないって分かったから
そんなこと、
言えるわけない
「気のせいじゃない?」
『そうかなぁ』
りゅうきは首を傾げた。
でも。
その日初めて。
少しだけ。
本当に少しだけ。
思った。
たくと先輩って。
俺のことで笑ったり。
落ち込んだり。
してる気がする。
『……先輩』
「ん?」
『俺、なんかしました?』
「え?」
『なんか最近』
少し考える。
『俺とおる時だけ、違う気がする』
たくとの心臓が止まりそうになる。
りゅうきはまだ知らない。
それが恋だということを。
でも。
少しずつ。
少しずつだけど。
何かに気づき始めていた。
たくとの視線に。
優しさに。
自分だけに向けられる特別に。
そしてトムは翌日、
りゅうきから
「なあトム」
「ん?」
「好きってなんやろ」
と言われて、
盛大にジュースを吹き出すことになるのであった
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コメント
1件
みぅだよ🤍🥀 3話読んだよ〜。 りゅうきが「好きってなんやろ」って言い出すの、もう完全に恋の始まりじゃんね…! 自分じゃ気づいてないけど、周りはみんな分かってるって感じがすごくもどかしくて可愛かった🫠💘 たくと先輩が駅前で見かけた場面、「従兄弟やった」って分かった時の安堵、めっちゃ伝わってきた。嫉妬してる自分に気づいてるのに言えないもどかしさ、すごく分かる…。 2人の気持ちがゆっくり変わっていく感じ、続きすごく気になるよ!また読ませてね🌙🤍