テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ボイドールがいつもの無感情ボイスでアナウンスしてきた。
「カピ。ランクマッチ及ビ、イベント参加者ノ疲労回復を目的とした温泉施設ヲ新設デス。ヒーローノ皆様モ是非ゴ利用クダサイ。水着着用ノ男女共用ゾーンモ完備デス」
……は?
男女共用?
一瞬固まったけど、隣にいるサーティーンが反応する前に、私の目がぱちぱちと輝き始めてしまった。
温泉……! 温水プールもあるんだ……
思わずボイドールに食いついてしまった。
「露天風呂はありますか?」「貸切は可能ですか?」「効能はありますか?」って、矢継ぎ早に質問攻め。
日本人が温泉と聞いたら冷静になんてなれませんよ! 温泉!?行きたいに決まってる!
サーティーンは隣で腕組みして、ため息混じりに呟く。
「……俺ァそこまで温泉に興味がある訳じゃねェが」
私はサーティーンに振り返って、キラキラした目で彼を見つめる。
……一緒に行ってくれるよね?
その瞬間、サーティーンが小さく「うっ」と声を漏らして、そんな目で見るなよという顔をした。
(あ、効いてる……)
「ったく、仕方ねェな」
サーティーンが私の頭を軽く叩いて、にやりと笑う。
「俺様も、一緒に行ってやるよ。相棒は俺なしだと寂しくて泣いちゃうだろ?」
私はスンッと顔をしかめて、わざと冷たく返す。
「なるほどー。そんなこと言うなら零夜君でも誘って行こうかな」
「……は? 相棒、俺以外と行くつもりか?」
……さすがに地雷を踏んだようだ。
サーティーンの目つきが一瞬でヤバい方向に変わったのがわかる。
「おおっと、今にも犯罪が起きそうな目だ!……もしかして、今日が私の命日かな??」
「そうかもな、この鎖でキツく縛って……」
ジャラリと鎖に手をかけている。
「嘘です、ごめんなさい。やっぱサーティーンと一緒に行きたいです!!」
とてもじゃないが目が据わっている。
私は彼を落ち着かせるように、ぎゅーっと抱きしめる。……頼む、落ち着いてくれ。
「だよなァ!俺様と行きたいよなァ!!」
途端にパァァと明るく笑うと、私をぎゅうぎゅう強く抱きしめ返してきた。
……私に軽くて、失礼なこと言う癖に、
嫉妬は人一番強いんだからなぁ。
……困ったもんだ。
次の日。
温泉施設に到着し、男女共有で楽しめるプールに行ってみることにした。
更衣室から出たところで待ち合わせにする。
「サーティーン、お待たせ!」
すでに到着している彼のところに行くと、ハーフパンツに羽織っただけのアロハシャツ姿のサーティーンがいた。
フードもかぶっていないので、顔もマスク以外露出していてかなり珍しい。
……というより、
さすが元天使というだけある。
顔面偏差値高すぎるし、裸体の筋肉もすごい。……そりゃ、周りの女性がチラチラ見ているのもわかる。
でも、話しかけられないのは、暇すぎイラつきオーラを隠そうともしないせいだろうな。
「おっせーぞ相棒!
お前がいないと暇すぎる!」
サーティーンが不機嫌そうに腕を組んで、
こちらに近づいてくる。
その瞬間、周囲の視線が一気に集まった気がした。
(……ちょっと、独占欲出てる?)
私は小さくため息をつきながら、笑顔で手を振った。
「ごめんごめん、女の子の着替えって意外と時間がかかるんだよ」
「ったく、俺様を待たせるなんて、
……相棒のくせに」
サーティーンがぶつぶつ言いながらも、私の横にぴったりと寄ってくる。
アロハシャツの隙間から見える引き締まった胸板と、出入り口のシャワーで濡れた髪から滴る水滴が、なんだか妙に色っぽくて……。
私は慌てて視線を逸らした。
「……ま、いいけどな。相棒が来たんだから、もう暇じゃねェよ」
そう言いながら、サーティーンが私の腰に軽く手を回してくる。
周りの視線がさらに集まるのを感じて、私は小さく苦笑した。
(ほんと、困った死神だなぁ……)
でも、こういう独占欲丸出しのサーティーンも、なんだか可愛くて嫌いじゃない。
私は諦め半分、甘やかし半分で、彼の腕に軽く自分の手を重ねた。
「じゃあ、行こうか。プール楽しみだね」
「だろ? 俺と一緒なら、絶対に楽しめるぜ」
サーティーンがにやりと笑って、私を軽く引き寄せる。
……今日も、結局サーティーンに振り回されそうだ。