コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
目が覚めたら、そこは研究所らしき部屋だった。
(ああ、転生したのか)
今度は何だろうか?
部屋には、表現者のときとは異なり、工具や機械類が散乱していた。
表現者のときでもそうだったが、転生したからといって、転生した人間の意思までは私のものにはならないらしい。
だから、多少の肉体の自由はあるが、話す内容などは転生した人間のままだ。
床にも様々な書類が落ちていて、何やら難しそうな数式や図が書かれていた。
その一枚を拾い上げてみたら、また心臓が大きく動いた。
周りの工具を掴んで作業に取り掛かる。
手を動かしている私自身には、何をしているのかなんてさっぱり分からないのに、体は無駄のない動きでテキパキと作業を進めている。
そして、作業を進めてから数時間後。
私の手は、突然止まった。
いつの間にかできあがっていたその機会を、私は大きな装置に取り付けた。
ヴゥ~ン……。
と、大きな音を立てて動き始める装置。
「これで…、やっと世界が平和になる……!」
私の口から、その言葉が零れ落ちた。
すると、荒々しい音を立てて、大勢の人が入ってきた。
彼らの服装は皆、軍隊のような服装をしていた。
「おお、これがあの…」
「そうだ。この装置さえ使えば、俺らの勝ちだ」
「おう。やっぱこの発明家にやらせて正解だったな」
彼らは口々に喋りだして、装置を外に出そうとした。
「やっ、やめてください!この装置は、戦争のために作ったんじゃないんです!これは、世界が平和になる装置で…!」
慌てて私の体は彼らを止めようとしたが、体格差がありすぎる。
すぐに振り払われて、私の体は軽く吹っ飛んだ。
ずきずきと背中が痛む。
兵隊たちの汚い笑い声が、研究室を包んだ。
私の目から、一つの涙が零れ落ちた。
転生した人間は、とても頭がいい発明家だった。
世界が平和になる、世紀の大発明をした。
しかし、それは兵器に利用されて残酷な血の雨が降った。
こんなの、私が求めていた転生人生じゃない。
私は、転生林檎を取り出した。
(転生しよう)
私は林檎を齧った。
体に電流が走った。