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檻の中の苺
エピソード4
ブルー
「…やった……!」
ようやく、ようやく俺のことを助けてくれた人と連絡がついた……!!
あの人を探すために、作ったサイトを掲示板に貼ってみたり、フードを被ってできるだけ種族を誤魔化しながら町のあらゆる場所を歩き回って、柱や掲示板にポスターをたくさん貼り続けた2日間。
今日はピンクレッド国王の演説会があり、たくさんの人が集まりそうだったので入場可能になったタイミングでさっと会場の柱にポスターを貼ったりなんていう大胆なこともした。
まぁ、流石にそのままその場にいると種族がバレるかもしれないから演説が始まる前に帰宅したが。
電話をかけてくれた人が俺を助けてくれた本人だと知れたとき、とてつもない嬉しさと感動で心が満たされた。
恩返しができる。
もう、あの過ちを繰り返さずに済むのだ。
しかし、少し引っかかっていることがある。 電話から聞こえた声…どこかで聞いたことがあるような……?
でも、今はそんなこと気にしている暇はない。2日後に、俺を助けてくれた本人が自宅に訪ねてくれるのだ。
病院から帰った日に部屋を片付けたとはいえ、ここ数日でまた散らかってしまっているのが、そろりそろりと部屋を歩いていて足にゴミが当たるたびに感じる。
現在唯一使える右目での視界はひどくぼやけていて、日常生活に支障が出るレベルなので清掃業者を呼んで掃除を頼みたいところだが、そんな自ら差別されにいくなんてことはとてもできない。
だからわずかな視界情報と手探りで部屋を掃除し、自身の身なりも整えることにした。
21歳の頃に師匠が亡くなってからここ数年、家から出ず、まともに食事を取らないだけでなく、髪も伸ばしっぱなしでボサボサ。何年も鬱と希死念慮に心を蝕まれていたから自分のことにも、周りのことにも気を配れなくなっていたのだ。家から出るということを考えただけで手がガタガタと震える…。だからといって宅配を頼んでも、2回に1回は届かない。それに、そんな中自宅兼研究所で小さな論文を書いては少量の金を稼ぐ日々だったから人と話すのにも慣れていない。「話すことリスト」なるものを作ってみるか…?
しかしそこで気づいた。今、この視界で文字を書くことは困難だ。仮に書けたとしても読めない。『点字』…という凹凸文字があるというのは聞いたことがあるが、そんなものは習得したことがない…
諦めて、今から髪を切りに行こうとしたが……立ち上がろうとすると足がすくむ……。無理だ…どうしても、人との距離が物理的に近くなってしまう場所に足を踏み入れられない…。
そこで、髪を切る代わりにできるだけ丁寧に髪を結ぶことにした。
自分の髪を結ぶだなんてことは今まで27年間生きてきて片手に収まる程度だが、両手で結び目を確認するあたり…
…多分、完ぺきに結べている。
だいたい、誰かが家に来る(主に配達員)ときは必ず種族偽装香水をつけるが、今回は不思議と「種族を偽装する」という考えが思いつかなかった。
それから、慣れないながらも準備を続け、ついに来た当日。
いつもなら、朝の光など恐ろしくて布団から出ることすらできないのだが、この日はやけに窓から漏れる朝日が、小鳥のさえずりが心地よくて、軽やかな気持ちでベッドから降りることができた。
助けてくれた人が来るまであと数時間。
待ち遠しくて、今にも家を飛び出してしまいそうだ。
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#無理矢理
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