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システィーナ×グレン
セラを知らないシスティーナと、セラを思い出すグレン
意味のわからないものが出来上がってしまった
屋上にて。
がちゃり、と何者かによって屋上の扉が開けられる。
その扉を開けた者は、屋上へ入るや否や口を開いた。
まるで、そこにその人物がいるとは思わなかった、と言うように。
「…グレン先生?」
「…おー、白猫か」
「こんな所で何してるんです?」
「そりゃこっちのセリフだ、何しに来た?」
「私はただ…いや、なんでもないです」
「…そか、」
「それで先生は…ここで何してるんですか? 」
「あー? 特に何もしてねえよ」
「じゃあなんでこんな所にいるんですか?」
「お前にゃ関係ねえことだ」
また、突き放された。
グレンはあまり自分の事を話したがらず、自分の事を聞かれるとのらりくらりと躱してしまう。
お手前の饒舌で聞いてきた人を言いくるめ、話を逸らす。
それがいつもの事だった。
だが、今日はいつもならすごすごと引き下がるシスティーナが、聞き出すまで引くまいとグレンへ噛み付いたのだ。
「関係ないなんて、言わないでくださいよ…」
「…白猫?」
システィーナが消え入りそうな声で呟く。
グレンにはよく聞こえなかったのか、小首を傾げてシスティーナを見ていた。
「先生っていつもそう。人に事情を話せだの言うくせに自分は自分の事をちっとも話さない」
「お、おい…? どうしたんだよ?」
急に暴走し出したような状態のシスティーナに、慌てた様子のグレンが問いかける。
「先生のこと、知りたいって…思っちゃダメなんですか」
「はぁ、? いや別にダメじゃ…ねえけど、…
聞いててもいい気分になるもんじゃねえし」
「それでも知りたいんです。少しでも、先生のことを知りたい、だって…だって、知ってることで力になれることもあるかもしれないじゃないですか」
「…お前…」
「…? なんですか」
グレンのことが知りたいと懇願するシスティーナに何を見たのか、グレンがシスティーナの顔を見つめる。
それから暫し悩んだような表情を見せた後、自分の中で何か区切りをつけたようにシスティーナから視線を外し、システィーナに背中を向けた。
「…うんにゃ、なんでもねえよ。
…まぁ、そーだな…俺の中で気持ちの整理がついたら、お前らに話してやるよ」
「…! ほんとですか!」
グレンのことが知れる、と嬉しそうな表情をするシスティーナに背中を向けているグレンは気付かず、言葉を紡ぐ。
「…あぁ、まぁ…覚えてたらだけどな」
「絶対、覚えてますから! 忘れません!」
「そーかいそーかい、」
「あぁっ! またそうやって…!」
「怒んな怒んなって」
いつものようなふざけた物言いに戻ったグレンに、システィーナは少し安堵を浮かべたような表情をし、いつもの調子を取り戻してグレンを怒った。
心做しか、グレンの表情も先程より優しくなったような気がする。
「…この前も言ったけどさ」
「? なんですか?」
「お前、セラに似てんだよ」
「セラさん…先生が軍にいた時の同僚…でしたっけ?」
グレンの絞り出したような声に、今度はシスティーナが小首を傾げる。
この前も言われたように、システィーナはグレンの軍属時代の同僚であったセラに似ているようだった。
「セラ…アイツはその、根本的な性格こそは似てないものの、説教臭かったりとかそういうところが似てんだよ、お前に」
「先生、さらっと私とセラさんの事馬鹿にしました?」
「あーあー聞こえなーい」
「もう、あなたって人は…!!」
「…だからさ、なんでかなぁ…お前を見てるとたまにセラのこと思い出すようになっちまってよ」
「私を見てると…セラさんのことを…?」
「あぁ、お前とセラは容姿も結構似てるからな」
「セラさんのこと、よく知らないですけど…先生に凄く好かれている方だったんですね?」
「アホ、あいつはそんなんじゃねえよ」
セラを好いている、とシスティーナが言った途端、グレンは少し頬を赤くして不貞腐れたように毒づいた。
ツンデレな少年のようなグレンの様子に、システィーナの口元に笑みが浮かんだ。
「…何、笑ってんだよ…」
「ふふ、なんでもないです♪」
すっかり拗ねてしまったグレンへ微笑みかけるように、システィーナが隣に並ぶ。
その姿はまるで、軍属時代のグレンとセラのようだった。