テラーノベル
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その日の仕事が終わったのは、午後10時を過ぎた頃だった。
メインマネージャーは別のスタッフと打ち合わせに向かい、仁人は一人で機材の確認をしていた。
そこへ、勇斗がやってくる。
🩷「……まだ帰んないの?」
💛「あと少し確認があるので」
動揺しないように、機材を見ることに集中する。
🩷「そっか」
短い沈黙。
勇斗は、仁人の隣に立った。
🩷「……マネージャーになったんだ」
💛「はい」
🩷「昔から、そういう仕事に興味あったっけ?」
仁人は少し考えた。
💛「……人を支える仕事がしたかったんです」
🩷「……そっか」
勇斗は、少しだけ笑った。
🩷「仁人らしいな」
その言葉に、仁人の手が止まる。
懐かしい。
昔、何度も言われた言葉。
勇斗は、今も自分のことを覚えている。
当たり前なのに、それだけで胸が苦しくなった。
💛「……佐野さん」
🩷「ん?」
💛「明日の集合時間ですが、午前7時です。遅れないようにお願いします」
勇斗は、しばらく仁人を見つめた。
そして、静かに頷いた。
🩷「……わかった」
帰り道。
仁人は一人、駅まで歩いていた。
夜風が少し冷たい。
スマホを取り出す。
連絡先には、まだ勇斗の名前が残っていた。
もう何年も連絡していない。
最後にメッセージを送ったのは、勇斗の誕生日だった。
『お誕生日おめでとう』
返信は、短い「ありがとう」だけ。
俺は画面を閉じた。
💛「……何やってんだろ、俺」
もう終わった恋だ。
今さら何かを期待するわけにはいかない。
明日からも、仕事をしなければ。
そう思って歩き出した。
一方、勇斗は自宅のソファに座っていた。
シャワーを浴びたあとも、ずっと仁人のことを考えていた。
久しぶりに見た顔。
少し低くなった声。
仕事中の、あの丁寧な笑顔。
そして、最後まで一度も「勇斗」と呼んでくれなかったこと。
🩷「……なんでだよ」
スマホを手に取る。
連絡先を開く。
何度も見た名前。
吉田仁人。
俺はメッセージを打ち込んだ。
『今日、久しぶりに会えて嬉しかった』
送信ボタンの上で、指が止まる。
今さら、何を言っているのだろう。
自分から別れを告げたくせに。
仁人の人生から離れることを選んだくせに。
それでも。
🩷「……会いたかった」
小さく呟いた。
結局、メッセージは送らなかった。
スマホを伏せ、目を閉じる。
あの日、仁人と別れたとき。
自分は、これでいいと思っていた。
夢を叶えるためには、仕方がないのだと。
けれど、今になって思う。
自分は本当に、仁人を幸せにするために別れたのだろうか。
それとも、夢を選ぶ自分を正当化するために、仁人を手放しただけなのだろうか。
🩷「俺の我儘で仁人を傷つけたんだよな…」
答えは、まだ出ない。
ただ一つ、確かなことがあった。
もう一度、仁人の隣に立ちたい。
今度こそ、あの頃のように。
でも、その願いを口にする資格が自分にあるのか、俺にはわからなかった。
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コメント
3件
「 jnt 」と「 snさん 」「 タメ 」と「 敬語 」 その違いが切なすぎて …… ! jntくんは「 好きになったら、そういう感情を持ったらだめ 」って思ってそうだけどhytくんは純粋に「 jntへの後悔、少しでも元の時間に戻したい 」って感じがあって本当に胸が締め付けられます …… 💓 最高でした ‼️
第9話、読みました✧*。 二人どちらの視点も描かれているから、「別れた側」と「別れられた側」の気持ちの温度差がすごく伝わってきて切なかったです。特に仁人に「一度も勇斗って呼んでくれなかった」って気づくシーン、じわじわ来ました🥀 勇斗がメッセージ打って送れないところで、自分の過去重ねちゃいました。戻りたいけど戻れないもどかしさ、すごく丁寧に描かれてて……次が気になりすぎます。続き、大切に届けてもらえたら嬉しいです🌙
はるか
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