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白井にまた左腕を掴まれる。次の瞬間、左脇の下に突き上げるような衝撃が走り、天地が逆転した。背中から地面に叩きつけられる強い衝撃。
どこか遠くで「ぐぇっ」というひどく醜い悲鳴が聞こえたが、根岸はそれが自分が発した声とは思えなかった。
衝撃のせいで意識が飛び、朝、ベッドの上で目覚めた時のような感覚がした。
すぐに気付く。ここは駅前の公園−−自分専用の処刑場−−だと。
自分が横倒しになっているせいで、地面が自分と並行に延びている。
ああ、神様助けて下さい……
嘲笑われるのイヤだ。痛いのイヤだ。イジメられるのイヤだ。
「なーんだ。死んだかと思ったら、まだ生きてんじゃん」
人格を疑われるような暴言を、低くかすれた声で平然と放ったのは−−増田シンジ。
白井がイジメの実行隊長なら、コイツは補佐役だ。高校では根岸とは違うクラスの生徒だが、休み時間毎に根岸のクラスにやってきて、他のメンバーとともに根岸をいたぶる。低くかすれた声は野球部での「声出し」で声がすっかり枯れてしまったからだ。
「ほら、立てコラ」
白井の声が上から降ってくる。
「なぁ白井ぃ。今度は俺にやらせてくれよ」
増田が白井に呼び掛ける。
「ああ、いいぜ」
白井の言葉を受けて、増田は某格闘家のように両手を合わせて手首をクルクルと回転させた。仲間が何をしたいのか察した白井は、根岸の背後に回り、彼を羽交い締めにした。
ああ、神様。助けて下さい……
神様は答えてくれない。
代わりに、残酷な言葉が根岸に浴びせられる。
「悪ぃなあネギっち。過酷なストレス社会で生きる俺たちにはさぁ。オメーみたいにストレス発散できる存在が必要なのよね」
糞っ。だったらストレス対策に、高ポリフェノールのチョコでも食ってろ。
思わず口をついて出そうになった言葉を根岸はぐっと飲み込んだが、表情には出てしまったようだ。増田がそれを目ざとく見つける。
「根岸くぅ~ん。何?その反抗的な目付きは。いけませんねぇ。これは再教育が必要ですね、っと 」
神様、助……
根岸が祈り終わるより早く、増田のストレートパンチが根岸の無防備な鳩尾に刺さった。
激痛で、また意識が飛びかけた。根岸の足から力が抜け落ち、地面に崩れ落ちそうになるが、羽交い締めにされているせいで地面に倒れ込むことすら出来ない。
「うわっ、エッグー」
南川レオナが嬉しそうに笑う。
神様、仏様、どうか、僕のことを……