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「あらよ、っと」
軽妙な掛け声とともに増田が回転蹴りを放ち、爪先が根岸の左脇腹にヒットする。
「うぶっ」
腹部への衝撃で、胃の内容物を戻しそうになった。
「駄目だよネギっちぃ。そこは ひでぶ って言わなきゃ。折角の映えチャンスを逃がしちゃ駄目だよ」南川は笑いながら宣告する。
「だからやり直しね。増田くぅ~ん、もう一回やって。はーい、本番 テイク2」
「おしっ、俺も技を出す時 おわたぁ って叫ぶぜ」
「いいねぇ。解像度爆上がりだね♡」
神様、お願いです。助けて……助けて……
絶望的な表情で祈り続ける根岸に、増田がウキウキと話しかける。
「って訳だ。今度は間違えるなよ。 ひでぶ だぞ ひでぶ 」
「ちょっと待て」
今まで沈黙していたイジメ•グループの最後のメンバー。そしてリーダーが口を開いた。和田サトシ−−親は資産家。頭脳明晰で運動神経もルックスも良い、絵に描いたような優等生。自分の考えたシナリオに沿って仲間にイジメを行わせることで、ゲームのようにイジメを楽しむ、クズのエリート。
和田の一言で、一同は「待て」の命令を受けた犬のように行動を止め、口を閉じた。
「なぁ、根岸。お前、何で自分がこんな目に合うのか、分かるか?」
羽交い締めにされたままの根岸に歩み寄りながら、和田が質問してきた。
「わ、判りません……」
こんな奴に丁寧語なんか使いたくないのに、いつもの癖で根岸は丁寧口調で返事をしていた。4月の新学期から今まで、恐怖と暴力で自然に染み付いてしまった、嫌な癖−−
「お前、自分がさっき何したのか、もう忘れたのか?」
和田が平手で根岸の頭を叩き、詰問する。
「コンビニで……ガムを買いました……」
「そう、それだよ」
パシッ。今度は根岸の頬が平手打ちされた。