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元貴 side …




「涼…ちゃんッ…、?」


目の前には確かに若井がいたはず。だが、今目の前にいるのは涼ちゃん。あまりの出来事に頭が真っ白になる。


「…どうしてッ、若井は…、?」


「若井か…さぁね」


涼ちゃんは目線を窓の外へと向ける。その瞳はどこか冷たく、うっすらと霧がかかっているように見えた。


“あの時”の若井の目をしてる。


「なんで涼ちゃんがッ…、?若井はどこッ、?」


今の状況が不思議で怖くてたまらない。俺が問いかけると、涼ちゃんは少しだけど口角を上げて呟いた。


「…僕の話をしようか」










藤澤 side …



元貴を好きになったのはいつからだっけ。


「涼ちゃん!また明日ー!」


元気にこちらに手を振る君の笑顔。僕の大好きな笑顔。少し照れながらも小さく、でも分かりやすく、ちゃんと手を振り返す。すると元貴はふにゃっと笑って、前を向いて走って行ってしまった。


どこか静かな夜の東京。街の方は明るくて人々の声がよくする。だが、その街中を抜けた一部の通り沿いは、もう夜の景色を醸し出す。暗くて、冷たい風がスーッと頬を撫でる。


僕は今日も仕事帰りの夜、君を家まで送っていく。こうやって2人で夜に帰る時間が好きだった。いつもは仕事で忙しく、プライベートもまともに会えない。そんな僕たちだからこそできるこの小さな時間。くだらない話をしたり、時には何も話さず、ただ2人で並んで帰る。それだけでも僕は物凄く幸せだった。



でも、この幸せはそう長くは続かなかった。






「涼ちゃん、今日会議午前中で終わるしさ、久々に買い物とか行かない?」


荷物をまとめ、コートをはおりながら君が話した。


「いいの…?行きたい!!」


僕は元貴の目を真っ直ぐに見て、すぐに答えた。元貴は、じゃあ決まりね、と笑いながら話した。物凄く嬉しかった。だって元貴と一緒に居られる時間が増えるんだもの。僕はすぐに椅子から立ち上がり、荷物をまとめる。そんな僕を見て元貴は面白可笑しそうに笑った。そして僕たちはスタジオを後にし、デパートへと向かった。











平日ということもあり、デパート内はあまり人はいなかった。これなら周りに気を使わずに2人でゆっくりと買い物ができる、と僕は心の中でガッツポーズをした。


「で、元貴は何を買いに来たの?」


隣を歩く元貴に問いかける。んー?と元貴がこちらに振り向く。


「……ちょっとアクセサリーが欲しくてさ」


元貴はジュエリーショップを横目に見ながら呟く。せっかくこうやってデートできるんだし、どうせならブランドショップとか行っても良かったのに、と内心不思議に思った。


「あ、涼ちゃんこれとかどうかな?」


元貴は数店舗並ぶジュエリーショップの中から1番高そうなお店へと入り、イヤリングやネックレスが並ぶショーケースに指を指した。


「イヤリングが欲しいの?」


そう問いかけると、元貴はんーと少し悩んでから答えた。


「んー…イヤリングの方がいいかもな〜、」


元貴はイヤリングが並ぶショーケースの方へと体を向ける。整った顔立ちに、綺麗なフェイスライン。長いまつ毛がふわりと風で揺らぐ。どうして彼はこんなにも美しいのに、僕なんかと一緒にいるんだろう。



もしかして、僕のことが好きなのかな?








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