そして、蓬莱、風音、アスクはと言うと。
思わず絶句していた。
そこは牢屋だった。牢屋には血が凝固し、床にこびりついていたり、人骨がそのままにされていたり、悲惨な光景だった。
その中で、蓬莱達はひとつの牢屋に目を向けた。
「・・・ぉ・・・とう、さん・・・?」
その牢屋には、天満と蓬莱の父親“すまない”がいた。左腕を鎖で繋がれ、まるでブラブラ揺れるキーホルダーのように上から鎖が繋がっていた。
体中酷い痣や切り傷だらけ。それより目を奪ったのは、
「・・・ね、ねぇ・・・師匠の右腕が・・・“無くない?”わ、私の見間違えかなぁ?」
「・・・いえ、本当に“無くなってます”」
そう、すまない先生の右腕が“無くなっている”のだ。
右腕は、ヤマタノオロチを倒した際に、負のエネルギーを濃く受け、変色した。その腕のことがあり、すまない先生は、すまないスクールの先生を引退した。(それ以外もあるが、恐らく大体はそれが理由だろう)
その腕がまるで根元からもがれたかのように無くなっていたのだ。
ビキッ
蓬莱は無意識に杖を握りしめていた。そして、杖にヒビが入る。
蓬莱の頭には、様々な映像が流れた。
父と一緒に誘拐されたこと、
父が自分を庇い、暴力を受けたこと。
・・・血塗れで倒れている父の姿を。
「・・・ッッッ!!」
蓬莱を囲うかのように、氷の棘が現れた。無意識に氷の魔法を使ったのだろう。
一気に気温が低くなり、蓬莱の指先が赤を通り越して紫色に変色していた。
「蓬莱ちゃん」
ふと、誰かが蓬莱の目元を覆う。
「大丈夫、大丈夫、落ち着いて?私だって怒ってるから・・・ゆっくり氷を溶かして?ね?」
その声に従って、蓬莱は氷を水へと変換させた。
「うん!さすが蓬莱ちゃん!!」
と、風音は笑う。
「・・・けどせめて水は消して欲しかった・・・」
「あ、ごめんなさい」
と、風音とアスクはびしょ濡れになった。(蓬莱は魔法を使う主なので、濡れなかった)
✵✵✵✵✵
アスク達はすまない先生を牢屋から連れ出し、手当した。
「・・・うん、息はしてる。気絶してるみたい」
「・・・良かった・・・」
ふと、風音の視線に蓬莱が映るのだが、蓬莱の瞳が“赤く”なっていることに気がついた。
(・・・赤?)
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