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「ねぇ、佑(ユウ)!」
バタバタッ!
騒がしい声と音。
私はゆっくり目を覚ました。
あれ?ここどこ?
見渡す限り知らない風景。
教室?
机に俯いてた私は少し場の雰囲気についていけなかった。
「ねぇ佑お願いだからメンバーになってよ!」
「やだ、興味無い。」
振り返ると教室の後ろで一人の女子がある男子の手首を掴んでいた。
え、何あれ告白?
クラスメイトだろう思う二人に私はなんの記憶もなかった。
「あ、雪(ユキ)起きんてじゃん。なら帰ろうぜ。」
雪?私の事?
「眠い。」
私の口から出た言葉だ。
「もう下校時間とっくに過ぎてるぞ。」
下校?あれ?私社会人じゃなかったっけ?
あー考えるの面倒くさくなってきた。
「じゃあ佑がおんぶして。」
私の口から出てるのに私自身の意思で喋ってるように思えない。
「はぁ?自分で起きろよ。」
佑の言葉を無視して私は再び眠りについた。
ガタッ!!
「ねぇ雪も起きて説得してよ!」
机がものすごく揺れた。
顔あげるとすごく綺麗に整った顔の女子がいた。
「さっちゃんも諦めなよ。」
なるほどこの子は『さっちゃん』と呼んでいるのか。
そんなことを考えていると体がいきなり宙に浮いた。
「ひやっ!」
普段の私が絶対出さない可愛げな叫び声を口にしていた。
よくよく状況を読み取ると私は佑にお姫様だっこをされていた。
「ちょっ、おろしてよ!」
「んじゃ帰るぞー」
私は佑にお姫様だっこされながら学校を去った。
校門前。
色んな女子が校門近くでザワザワしていた。
こんな光景見てたら誰だって噂したくなるよね…
なんだって佑がすごくイケメンなんだよな。
最低でも180cmはあるだろうと思う高さに血管がくっきり見える白い肌、見た目は痩せ型なのにちゃんと筋肉はある体。
それよりなんなのが漫画から出てきたのかって思うくらい整った顔立ち。
ほんと絵になる顔だな。
そんなこと思いながら校門を出た。
校門を出た後はちゃんと下ろしてもらい歩きながら帰った。
帰り道。
ふとある場所に目を奪われた。
中学時代に通ってたことがある中学校。
私は中学時代に田舎の中学に転校したことがあった。元は都会の中学校に通っていた為田舎の中学校では結構なイジメを受けていた。一ヶ月ほどそこの中学に通いその後に元通ってた都会の中学校に戻った。
正直あんまりいい思い出がない。
「あ、ここって紗希(サキ)が言ってたライバル校じゃん。」
「ライバル校?」
「知ってるか?ここの中学校さ、高校があるんだけど。あんまり世間には知らされてないんだよな。」
「なんで?」
「ここの高校通うにはある条件がないといけなくて。」
「条件?」
「超能力者。」
はい?
「今なんて――」
ザザッ…
すごく強い風が吹いた。
「風強っ…」
「雪、俺に抱いてろ。」
「はっ?!何言って――」
私は佑に思いっきり抱きしめられた。
内心は押し返したいはずなのに、身体は抱き締め返していた。
「絶対離すなよ!」
私は音が無くなるまで思いっきり目をつぶった。
「…き……ゆき…雪っ!」
意識朦朧としながら私は目を開いた。
知らない教室、知らない生徒、知らない制服…
唯一知っているのは目の前にいる佑だけ。
「え、なにこれ。」
「俺もわかんねぇ、でも多分超能力かも。」
「超能力?そんなのホントにあるの?」
「あるも何もお前も俺も超能力者だろ?」
は?今なんて?
「うーん、私の聞き間違えかなと思うけど今『お前も俺も超能力者だろ?』って言った?」
「お前まさか記憶にないとか言うなよ?」
「えーっと…」
「はぁぁぁぁぁ?!」
「佑、うるさいよ鼓膜破れる。」
佑は信じられないと言う顔で私を見ていた。
「因みになんの能力なの?」
「俺は瞬間移動で、お前は空中浮揚。」
「空中浮揚って何。」
「重力に逆らって空に浮かぶこと。」
「あとお前には少し特殊な超能力がもう一つある。」
「え、何。」
「時を止める能力だけど、ハードルが高すぎてやろうと思えばやれる能力じゃない。」
「ふーん。」
なんて言ってるけど、異次元的な話で会話に着いて行けそうじゃない。
あ、そういうことならもしかして…
「さっちゃんがメンバーになってってもしかしてさ。」
「そのもしかしてだ、超能力研究団とかに入れとか言われて。」
「なるほどねー」
とか呑気に言ってる前に
「今この状況どうするのさ。」
「とりあいず校内回ってみるか。」
でも学校を回るのはいいものの何故か佑と手を繋いでいる。
と言うかあっちからいきなり手繋ぎだしたんだよな。
振り払わない私も私だけど。
『3F-A組』
「3Fって何?三階のこと?」
「俺だって知らないよ。」
とりあいず教室のドアを開いて見た。
ザワザワと二十人くらいいるはずなのに、姿が上手く映らない。
朦朧と影が見えるくらいで、ハッキリ見れるのは二三人くらいしかいない。
それもちゃんと見れる二三人は全員男であって、そのうちの一人が私達の方向を見てはものすごい大きい声で叫んでた。
「あーーー!!!佑先輩だ!」
え、誰?
「佑の知り合い?」
「知り合いというか…中学時代の後輩。」
「ふーん。」
ドスドスと私と佑の方向に歩いて来た。
「佑先輩お久しぶりです!」
「あ、うん。久しぶり。」
なんかこの人嫌い。
「あ、立ち話もなんですし中入ってくださいよ!」
この時私は佑の手を強く握った。
それに気づいてくれたのか、佑は反対の手で私の頭をポンポンと撫でできた。
「大丈夫だ、安心しろ。」
それを見た後輩くんは佑の手を引っ張って中に連れてった。
もちろん私も着いて行った。
けれど席は佑だけに準備されていた。
「先輩座ってください!」
佑はそのまま椅子に座り私はその後ろに立っていた。
もちろん女子のキャーキャーなどの黄色い悲鳴も後ろでものすごく聞こえてくる。
「先輩最近元気にしてましたか?」
「まぁそれほどには。」
「あちらの高校生活は楽しいですか?」
「まぁそれほどには。」
「相変わらず先輩イケメンだしモテますよね。」
「まぁそれほどには。」
後輩からの質問に全部『まぁそれほどには。』としか返さない佑。
すると…
「彼女って出来たんですか?」
「……は?」
「いや、先輩彼女出来たのかなって。」
「彼女は――」
この時私は咄嗟に背後から佑を抱きしめていた。
「佑は私のだから。」
私の意思で言ってる言葉でないけど、何故か私の意思でもある言葉が口にした。
そして私は佑に顔を近づけ頬に口付けをした。
「私のだから取んないで。」
私は睨みつけるように後輩くんにそう言った。
「…って言うことだから、分かった?」
私は少し笑っている佑を隣から見ていた。
「いや先輩!なんでこんなブサイクな女と付き合うんですか!」
は?
全然付き合ってないし付き合うつもりは今のとこないけど、ブサイクとは言い過ぎなのでは?
いや確かに普通な顔立ちしてるけど、そんなにブサイクじゃないと思うんですけど?
「は?」
佑がものすごく低いトーンで喋っていた。
「お前その言葉もう一度言ってみろ。」
「え、いや…」
「雪のこと悪く言うヤツは、お前でも許さねぇよ?」
何故か佑が自分の為に言ってくれてるって思っただけで体温が徐々に上がって顔がものすごく赤くなってしまった。
だから佑に顔を見られたくないと言う理由で抱いたまま顔を佑の肩に俯けてしまった。
「え、雪大丈夫か?」
「大丈夫…ちょっとそっとしといて……/////」
顔がものすごく暑い。
絶対顔赤いから佑に見られたくない。
そんなこと思いながら…
朝のアラームが鳴って私は目を覚ましたとさ。
めでたしめでたし。