テラーノベル
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--十回目
小春は携帯を手に取ると、流れるように窓へと投げた。
パリン!
ガラスが割れると彼女はベッドから飛び降り、勢いよく飛んで窓を全身で割る。
ここは2階だが、小春が無事に地面に着地すると嬉しそうに微笑んでから、商店街方面へと走っていく。
「よっしゃ、足挫いてないから成功!」
小春は今、道行く全ての人物に話しかけている、五回目のループ辺りで一人では限度があると重い知り、仲間を探しているのだ。
(あの人には話かけた、あいつにも…)
すると彼女はふと今まで入らなかった裏路地に目が入り、一度止まってから入ることを決意する。
「へぇ、こんな所になんか用?」
突然後ろから話しかけられ、慌てて振り向くと、ピアスを沢山開けており、服の隙間からタトゥーが見える男性と目が合う。
背が高く少しタバコの匂いがする彼に、小春は一瞬言葉が詰まってしまった。
「あっ、世界滅亡を止めるための仲間探ししてます!」
すると男性は驚いたように手を口元に置き、興味深そうに目を細めた。
「ふーん?良いよぉ、けど条件がある 」
ループ十回目にして、初めての承諾に彼女は一瞬動揺する。
「百万円ちょうだい♡」
どこか愛嬌のある言い方ながら、少し冗談っぽく揶揄うように笑った。
小春は突然の事に何も言えずにいると、男性は小春の肩に手を置く。
「無理だよね、じゃっ、夢見るのも大概にしろよな」
すると彼は姿を消した、小春は慌てて周囲を見渡しても居ない、走りながら裏路地を抜け。
高いビルの上に彼を見つける。
「瞬間移動だ!」
例え小春が使えなくても彼が仲間に加われば、今まであり得なかった可能性にも手が出せる。
小春が彼に声を掛けようと、走りながら近寄ると。
男性は高いビルの塀の向こう側に立ち、一歩前へと踏み出した。
目撃した小春は足を止め、男性だったものが床に倒れているのを見る。
「はっ?」
その瞬間、爆発音と共にビルが崩れ始め、すぐそばに居た小春が下敷きになり 。
–十一回目
小春は流れるように携帯を窓に投げつけた。
そしていつも様に窓を破りながら飛び降りると、そのまま商店街の方向へ走っていく。
(初めて見た…)
やはり地球滅亡前より先に逝こうとする人が居るとは、目撃して初めて気づいた。
そしてそれと同時に小春はある程度その男性の性格に気づき始めていた。
またあの路地裏に入る。
「へぇ、こんな所に…」
「好きですお付き合いしてください!」
「えっ、は?」
「小春は返事を待たずに男性の手を取った、せめて連絡先と名前だけでも」
もちろん彼女はこんなキャラじゃ無い、むしろ少し素っ気なくやる気が無い人見知りだ。
(でも由貴の為にも効率を良くする…)
「…マジで言ってる?ヤバぁ、ははっ」
男性は笑いを堪えながら、小春の唇に指を当てた。
「良いよ、なんかやって欲しい事があるんでしょ?」
男性は自分の時計を見たあとに、小春の目を見る。
「俺は翔、電話番号は+81… … まっ、意味ないけど」
すると小春は翔の後に電話番号を復唱する。
「ふぅん、それで?お兄さんにして欲しいことあるかなぁ?」
揶揄う様な笑い方をすると、小春は急いで頷いた。
「まるバツ公園の裏を一瞬見てきて、何があるかパッと伝えて」
「はぁ?まぁ良いけど」
まるバツ公園は小春と由貴が会ったあの公園、その裏で爆発が起こったのだが…
公園は結構広く、小春の足では3分以内に行けなかった。
翔は少し期待ハズレだったのか、残念そうに消えると、10秒後に帰ってくる。
「なんか凸凹になっている地面があったな、少し不自然だった」
「おぉマジか」
小春は携帯の時間を確認すると、もう残り10秒しか無かった。
「確認だけど私とか連れて行ける?」
「試してねぇな、服ごと移動できるし出来ると思うけど」
すると翔は小春の腰をしっかりと支えると、次の瞬間にはどこかの山の上の空に飛んでいた。
「わっえっ?」
「思ったより良い景色だな」
小春は突然の事に翔の服を力強く掴む。
その事に翔はくすっと笑う。
「名前も知らないけど、嬉しかったよ、好いてくれて」
小春は何も言えずに翔の穏やかな笑みを見つめた、そして空が終わり森の木々へと落ちていき。
–十二回目
小春はスマホを手に取ると力無くベッドの布団へと投げた。
「あぁ駄目だ…」
事情も説明せず、ただ利用しただけに過ぎない彼、世界を救うには通るべき道の筈だが。
「ちょっと、自分が嫌になるな…」
鳴り止まぬ携帯の着信を無視し、小春はもう一度布団を被った。
次は、次こそはもっと進む。
そんな事を考えながら、精神的な疲れで小春はすぐに眠ってしまい。
–十三回目
ちょこ
35
TOMATO
41
コメント
1件
心臓が一気に掴まれました……! 窓からのダイブ、そして百面相みたいに変わっていく小春の表情に、もう夢中です。十回目で遭遇した翔さんの――あの選択、衝撃でした。でも、その後に告白する十一回目の小春の頭の回転の速さと切実さに、胸がぎゅっとなりました。世界を救うって、こんなにも泥臭くて痛いんだなって。「嫌になるな」と布団に投げ出す十二回目の深夜の静けさが、痛いくらい沁みます。次はどう進むんだろう、由貴さんともう一度会えますように……本当に、続きが待ち遠しいです🕊️