テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
レストラン厨房。
「この壁をぶち抜いて、厨房を全面ガラス張りにするわ」
私が告げると、料理人たちが目を丸くした。
「お、お嬢様……事件があったばかりなのに、厨房を曝け出すんですかい?」
「事件があったからこそよ」
私は料理人たちを見渡した。
「調理工程を、全部見せるの」
「お嬢様は……俺たちを少しも疑わねぇんですかい?」
「疑う必要があるかしら?あなたたちは、誰より料理に誇りを持ってるでしょう?」
沈黙の後、料理長がぐっと拳を握った。
「……っ!お嬢様にそこまで仰っていただいたからには、死ぬ気でやり遂げて見せますぞ!」
周囲の料理人たちも、一斉に頷く。
「任せてくだせえ! 今までで最高の料理を作ってみせますんで!」
(よし。これで現場の士気は上がったわ!)
***
壁際に積まれた工具、ガラス板。壁は飛散防止用の厚い布で覆われている。
職人たちが不安そうに壁を見上げている横で、私は図面を広げた。
「本当に大丈夫なんですか? この壁、かなり分厚いですが……?」
私は壁を軽く拳でコンコンと叩き、床下収納を開けて配管を指し示した。
「問題ないわ。この壁は構造壁(建物を支える壁)じゃない」
私は図面を指でなぞる。
「配管も通ってない。壊して平気よ」
「な、なんでそんなことまで……!?」
職人たちが目を丸くする。
(前世の不動産知識が、こんなところでも役に立つとはね)
(前世の不動知識がここでも役に立つとはね)
その時、背後から低い声がした。
「この壁を壊せばいいんだな」
「ええ、そうよ」
アレクが前へ出る。
次の瞬間――。