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「ひろ、落ち着いた?」
それから少しして、敦が僕の背中をさすりながら声をかけてくれた。
「うん。ごめん、たくさん……泣いちゃった」
「もう、すぐごめんって言わないの。仲直りはできたし、ひろとちゃんと話せてよかったよ」
敦は優しく微笑んでくれて、それを見ていると不思議と安心した。
「…しゅん」
「ん?」
「その…ぼく、これからもしゅんの恋人でいられるってことだよね…っ?ぼくのこと…まだ、好き…?」
敦と仲直りができてすごく嬉しい反面、心はまだ理解が追い付いておらず、僕はドキドキしながら訊ねた。
敦は一瞬、きょとんとした顔をすると、すぐに笑顔になって言った。
「好きだよ。多分、明日も明後日も、ずっとね」
「…!」
その言葉は「絶対」や「永遠」を約束されるよりも信じられる響きがあった。
「大体、ひろは俺の未来のお嫁さんだって言ったでしょ?別れる気なんて更々無いから」
「しゅん…っ、その言葉覚えててくれたんだ…」
「忘れてると思ったの?」
ふっと笑って聞いてくる敦に、僕は続ける。
「も、もうそんな風に思ってくれてないかもって…考えてたから」
最後の方は尻すぼんでしまい、俯く僕に敦は言った。
「ひろに見えてる俺って、結構薄情…だね?」
「え?あっ、いや、ち、違うの…!しゅんはいつも大人なのに、ぼ、僕が子供っぽすぎて…愛想つかされても、おかしくない、からで…」
アタフタとし、身振り手振りで必死に弁解をする僕を見て「冗談だって」と小さく笑う敦。
かと思えば、僕の目を真っ直ぐに捉えて、真剣なトーンで聞いてきた。
「…でも、ひろにはそんなに大人に見えてるんだなって」
「え?」
「…言っとくけど、俺ってひろが思ってるより重い男だよ」
言いながら、敦は僕の指に自分の手を絡ませて、僕の手の甲に唇を近づけた。
口調も手つきも優しいのに
その眼だけは、逃げ場を無くした獲物を追い詰めたライオンのように鋭く光っている。
「…しゅ、しゅん……っ?」
「昔からひろのことだけ見てきたのに、今更離してなんてあげられないし。正直、ひろが思ってるほど俺は大人じゃないよ。ひろのことになると、全然余裕なんてないんだからさ」
敦の言葉は甘美な鎖のように僕の心臓に絡みついた。
もちろん僕は、その豹変ぶりに戸惑いを隠せなかった。
なんせ、敦からそんな「重い男」だとか「余裕なんて無い」という言葉が出るとは思わなかったからだ。
ただ一つ確かなのは、その熱をもっと欲しているということだった。
「…え、え?ぼ、僕、しゅんにそんな風に思ってもらえてるなら……すっごく嬉しいよ?」
素直に答えると
敦は驚いたように目を見開くと、次の瞬間には困ったような、どこか嬉しそうな表情を見せた。
「……ほんと、ひろってば…」