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そして、瞬く間に敦の腕が僕の腰に回され、グイッと引き寄せられた。
「しゅん…っ?ぼく、重く…ない?」
対面で敦の膝の上に乗せられ、距離がぐっと縮まる。
まさしく鼻先数センチの距離だ。
「まさか。ひろぐらい軽々と持ち上げられるよ」
言いながら敦の手は腰から僕のおしりに回された。
「ひゃ…っ」
〝もっとこっちにおいで〟と言わんばかりにお尻を持ち上げられて、密着させられる。
「可愛いね…ひろ」
耳元で囁かれ、甘い吐息が耳朶を擽った。
「ち、近すぎるって、しゅん…っ」
敦の胸板を押して少し距離を取ろうとするも、敦はしっかりと僕の体をホールドしていて、離す気はないらしい。
「最近触れてなかったんだから、いいでしょ?」
そう言われると、頷かずにはいられなかった。
あっという間に背中に手を回されてギュッと優しく、そして力強く抱きしめられる。
瞬間、ふわっと敦の匂いが充満した。
優しくて、暖かくて、嬉しくて。
子供みたいな言葉しか脳裏には浮かばなかったが、それが本音だった。
だけど、嬉しいはずなのに
敦に抱きしめられた瞬間、また涙腺が緩むのを感じた。
「え、ひろ……?なんで泣いて…」
気付いたときには敦の服を濡らしてしまっていた。
僕は慌てて涙を拭う。
「そ、その…っ、しゅんと久しぶりにぎゅーできたのが嬉しくて…」
「…そんな、泣くほどに?」
「だ、だって…今日別れ話されると思って…もう…っ、しゅんに触って貰えないんだって思ってた、から……っ、抱きしめてもらえて…うれ、しくて…ひっ、ぐ……」
一度落ち着いたはずの涙が、また溢れ出してしまう。
鼻水をズビズビ鳴らしながら懸命に説明する僕を見て、敦は困ったように僕の涙を指で拭いながら呟いた。
「もう…ほんと泣き虫なんだから。って…言っても半分は俺のせいだよね、ハルのバー行くだけだって伝えてなかったし」
「ご、ごめん……ぼく、面倒だよね…」
また不安になって、そんなことを聞くと敦は笑って返してくれた。
「なんで?」
「だ、だって…すぐ不安になっちゃうし、すぐ泣いちゃうし…っ」
「ふふ、ひろ知ってる?」
「え?」
「恋人って、少しぐらい面倒な方が可愛いんだよ」
敦の言葉は僕の不安を洗い流してくれるようで
「か、可愛い…??」
心の奥に、温かい火が灯っていくのを感じた。
「だって、俺のことが大好きって全身で叫んでるみたいでしょ」
敦はそう言って、柔らかく微笑んだ。
その笑顔に、心臓がまた高鳴る。
「…なんか、そう言われると恥ずかしい、かも」
「ふふ、そういうひろが可愛いんだけどね」
敦はそう言って可愛がってくれるが、僕は恥ずかしさに赤くなる頬を手のひらで押さえた。
「じゃ、じゃあもう少し、ワガママ言ってもいい…?」
「なあに?」
「そ、その…しゅんとチューもしたくて」