この作品はいかがでしたか?
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わたしの言葉を聞いたあなたが目をそらし黙り込んだ時……あなたの心のなかにはすでに亡霊がいることを知っていたよ。…………亡霊は死せるヒトの残留思念。生者に干渉することは出来ずただ記憶にのみ存在するだけのモノたちの総称だ。それはいつだって唐突に現れるし気づけば側にいてそっと寄り添うように生きている者の中に入り込んでしまう。そして気づいたときには取り返しがつかない程に大きく育っていてどうすることも出来なくなるのだ。
(あの日私は死んだんだ)
あの日のことは今でも鮮明に覚えているけれど同時に忘れてしまいたいと思っていることも確かだ。あれから何度も繰り返し見る悪夢のように、あるいは呪いのようだったと思うことがある。ただひとつだけ断言できるのは私があの日以来ずっと後悔し続けていて二度とあんな思いをしたくないと思っていてそのためにあらゆることに対して真剣に取り組むことができるようになったということだけだ。それだけで十分だと思う人もいるかもしれないけど、私にとってはそれではまだ不十分でこれから先の人生の目標としているのが今の私の生き甲斐になっているのだと言える。だからこそ私はこの仕事を辞めないし辞められないのだと思っているのだが、もちろんこんな気持ちになることだって初めてではない。
だから、今日もまた新しいお客さんが店にやってきたら精一杯の笑顔を浮かべて元気よく出迎えることができるだろうしいつも通りに仕事をすることができるだろうと信じ切っていたわけである
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