・登場人物は全てオリジナルのキャラクターです(一次創作)
・BL要素を含みますが、やらしい描写は無いです(多分)
・設定などがぶっ飛んでいることがあると思いますが、お見逃しください()それでもいいという人は、どうぞ↓↓↓
「何から知りたい」「んー、そうだなぁ、じゃあこの世界の政治について教えて欲しい」「分かった、俺らが知ってる範囲のことを教える。
この世界には国家が1つのみしか存在しない。エリアと呼ばれる細かい区切りはあるが、全てをまとめる最高指導者がオオヒだ。ちなみにあいつは初代じゃなくて3代目。それも、最近変わったばかりだ。
彼は壁の向こうの街の中央、バカ高い建物の最上階に住んでいる。いや、もはやその建物自体が彼の家とも言える。セキュリティは万全で、あいつが許可した人間しか入れない。あいつの住むエリアは[エリアA]と呼ばれている、そして俺らがいるここは[エリアZ]だ。…2代目までの最高指導者は、‘エラー’を起こした人間を‘処理’していたんだが、オオヒに変わってからは‘処理’ではなく街から‘転移’されるようになった」
「ん、ちょっと待って。じゃあ今までは‘エラー’を起こした人間は殺されてたけど、オオヒになってからは[エリアZ]に移されるだけでそれ以上のことはされないようになったってこと?」「殺される…?‘処理’のことか?」「う、うん…多分…?」「あぁ、そうだな。食料と水は定期的に支給されるし…、そう考えると完全に見放されたとは言いきれないな」「…ふーん、こっちの俺は少しの情はあるみたいね?なら話し合いの余地もあるんじゃね?」「それは難しいだろう、俺らが[エリアZ]から出たことがバレたら即拘束だ」「即殺されないだけまだ良くねぇ?やっぱワンチャンあるぞこれ」「…」「あ、ごめんごめん。続けてどうぞ」
「…あとは…、そうだな、実質この世界の全てのシステムの権限を持っているのはオオヒただ一人だ。指紋認証と虹彩認証で全てのシステムを動かすことが出来る」
「え?!」「あ?」「ど、どーしたん?」「…指紋認証と虹彩認証で全てのシステムを…?それ、ガチじゃん」「どういう事だ」「俺とオオヒは同一人物のようなもんじゃん?だから俺の体でも反応する可能性がある」「…いや、だが…」「確かに試してみる価値はあるね」「ヴォルテ…、だが反応するとは限らないぞ」「でももし反応したら革命がもっと現実的になるよ。俺らが考えた特攻作戦よりも、拘束される人員が削減される。その方が絶対にいいでしょ」「それはそうだが…」「まぁとにかく作戦のことはあとあと。この世界についてもっと教えてよ」「…そうだな。政治について他に知りたいことはあるか?」「んー、そうだなぁ、じゃあ政治に派閥とかあるの?それとも完全な独裁国家なのかな?」「派閥などはない。権力は全てオオヒが持っている。…だがそれはあくまでも表向き、だ」「…え?どゆこと?」「…大斐、混乱するのが分かっていたからこの事は伏せていたんだが、」一拍子置いて、ヒイラが口を開く。「この世界はもはやロボットに乗っ取られている。最高指導者なんて名前だけだ、実際はロボットの言いなりになっている」
俺の頭の上に沢山のはてなマークが浮かんだ。
「…つまり…、実際に人間をコントロールしてるのは、ロボットと」「…そういう事になるな」「…」「だがオオヒは完全に言いなりになっているわけではないらしい。‘エラー’を起こした人間を[エリアZ]に‘転移’させる、なんてことをロボットがそう易々と許可するとは思えない。オオヒが何かをしてロボットを黙らせたと考えるのが妥当だろう」「…ちょっと待って…。なんかオオヒの人物像がどんどん変わってきたんだけど…。じゃあ俺らの敵はオオヒじゃないってこと?」「そうだ。あいつは基本的に、ロボットの言うことに逆らうことが出来ないに過ぎない。この世界のシステムはあいつの本望じゃない」「…はぁ。色々聞きたいことはあるけどさ…。
何で政府の内部情報についてそんなに詳しいのさ」
「…」「一般人に公開されてるとは思えないけどね?何せ死についても感情も消すような政治だ。…ヒイラ、アンタ何者なの?」「…流石、もう1人のオオヒ、と言ったところか。お察しの通り、俺は一般人ではない」「じゃあなに?」
「ヒイラは2代目の最高指導者だったんだよ」
そう言ったのはヴォルテだった。本日何度目かの驚愕。いや、ヒイラが只者じゃないってのは察してたけどさ、まさか最高指導者だったとは思わないじゃん。
「…お前にも教えるつもりはなかったんだが。だが気づかれたなら隠すのも無意味だ」「…」「俺は所謂‘エラー’を起こした。…ロボットの言うことに従うのが嫌になったんだ。オオヒは従わないことが出来たみたいだが、俺にはそれが出来なかった。結果、最高指導者の座から引きずり降ろされた。…本当は‘処理’されるはずだったんだが、オオヒがシステムを変えてくれたお陰でこうして生きている」
なんか…、怒涛の展開だな。いや、今までずっとそうだけどさ。
「…なるほどね…」「あぁ。これでお前に隠すことは何も無くなったな。俺が知っていることなら何でも答えるぞ。他に知りたいことは?」
「…じゃあ…、この世界はどんくらい前からこんな風になったの」ロボットがこのあたおかシステムを作ったのは察せる。つまり、文明がある程度進んでからこんなんになったということ。
「このシステムが確立したのはおよそ30年前だ」「ふーん、意外と昔だな…。…ん?待って。え、あんたらって時間の概念ないんじゃないの……?」「よく知ってるな。一般人が出る施設では、〝時間〟や、先程お前が言っていた〝死〟なんかについては教えられない。だが俺やオオヒは別の施設を出ている。指導者に向いてる人間専用の施設、というやつだな。素質がある人間だけが行くところだ。その施設で最も優秀だった人間が最高指導者として選ばれる」「…ふーん、でも何で最高指導者は人間じゃないといけないのかイマイチ分かんないんだけど。人間をコントロールしたいなら、代わりの人間なんか作らないで自分たちでやればいいのに」「…ロボットは自分で自分のメンテナンスをすることが出来ない。故に、知識と技術を持った人間を残す必要がある。俺やオオヒは頭脳が優秀だったのだろうな、だからレベルの高い教育を受けられたんだ」「…はへー」「お前の世界と比べたらレベルの基準も違うのかもしれないが」
聞けば聞くほど、思いもしなかった事実が俺のちっぽけな脳に叩き込まれていく。てかそもそもの話、俺らとオオヒが結託して内側からロボットをボコればなんとかなるんじゃねーか??俺がこの世界について詳しく知ったところであまり役に立つ気がしねーし…。これならもうオオヒが住んでる建物とやらに凸ってオオヒ説得した方が効率いいのでは?うん、そんな気がする。
そして作戦を考える前に、まだやるべきことがある。
「あとさあ、ちょっと教えて欲しいんだけど、’エラー’を起こしてここに連行される時って、どういうふうに連れてこられんの?」
コメント
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めっちゃ面白いです…!!