・登場人物は全てオリジナルのキャラクターです(一次創作)
・BL要素を含みますが、やらしい描写は無いです(多分)
・設定などがぶっ飛んでいることがあると思いますが、お見逃しください()
それでもいいという人は、どうぞ↓↓↓
第16話
「それで、そのダクラっつー奴をこっちに連れてきたいってことか?」「うん、あの街にいるのが危険になる前にこっちに連れてきたいんだ」「まあ確かに、俺らが行動を起こせば街が混乱状態に陥る可能性もなくはないが…」「そいつはお前の仲間なのか?」「仲間というか…、そのー…、友達かな」「…とも、だち」「うん、友達」「…まぁとりあえず、そいつを連れてくること自体は全然構わないんだが…、その、どうやってそれを伝えるんだ?」「そーだよ、下手したら通報されて政府当局が吹っ飛んでくるよ?」「信用出来る奴だからそこは大丈夫だよー」「…そもそも、本人が同意するかどうかも分からないよ?」「そうだぞ、自ら捕まるなんて、抵抗がないと考える方が不自然じゃないか?」「…確かにそうなんだけどさ…、でも何とかして説得するから大丈夫。捕まる時に暴力を振るわれるとか、そーゆーことはないんでしょ?」「それはないが…」「なら大丈夫だよ」「…でも、信じられないな…。そういう思考をしてる奴は片っ端から捕まるから、あの中にそんな奴がいるなんて…」「俺の世界でもダクラはポーカーフェイス上手だから…」「まぁとにかく、今日はもうこっちで過ごしなよ。まだロボットが巡回してるかもだし…」「せっかくのお誘いだけど、俺また中に戻るよ。あ、けどその前にご飯は食べたいかな」「戻るってお前、正気か?まだ中は危険だぞ」「うん、分かってるよ。でもさ、次またいつこの世界から離れるか分からないから」「…どういう事だ?」「俺、自分の意思でこの世界に来れないし、出ることも出来ないんだ。法則性も分からない。だから早くダクラのところに行って、作戦を伝えたいんだ」「そんなに不安定な存在なのか、お前は」「うん…。俺も本当はさ、あんたらと作戦会議とかしたいんだよ?だけど優先事項はダクラをここに連れてくることだから。だからね、もし俺がこの世界から離れても、気にせずに作戦を立ててほしいし、あまりに長い時間俺が戻らなかったら、構わず実行に移してほしい」「そんな、お前がいなかったら…」「けどオオヒが最高指導者である今が1番勝率が高い。そうでしょ?」「…」「ね、頼むよ。俺はあんたらが勝利を勝ち取って、世界を正して欲しいって心から願ってるから」「…わかった」「ちょ、ヒイラ…」「だが大斐、お前がこの世界にいる限りは、俺らに手を貸すと約束してくれ」「そりゃもちろん」俺は手を差し出した。ヒイラも恐る恐る手を出してきたので、ガシッと掴んでやった。「約束だよ、ヒイラ」「…あぁ」
支給された飯は相変わらず薬臭くて不味かった。美味しい料理だと思い込みながら食っても不味かった。ダメだこりゃ、俺はこいつとは一生分かり合えない。
「じゃあ行ってくるね」「どうか気をつけて」「お前が捕まったらここに連れてこられるとは限らないからな。捕まるなよ」「もちろん、じゃ、また」ヒイラとその仲間たちに見守られながら、俺は穴をくぐり抜けた。ヒイラに大雑把な街の構図を教えて貰ったけど、あまり役に立つ気がしないな…。まぁとにかく、ダクラが帰ってくる時間を見計らってあそこから出てきたから、早く隠れられる場所探してダクラを見つけないと…。
3回目ともなれば慣れたものだった。ダクラを見つけた瞬間俺は物陰からスッと出て、スッとダクラの手を取って、何食わぬ顔をしてダクラの隣を歩いた。ダクラもダクラで、こっちをチラリとも見ないで、指だけ絡ませてきて嬉しさをアピールしてきた。いやもう、何だこのクソデカ感情…、すごいダクラの成長を感じ取れて嬉しいというかなんというか。感動したわ。部屋に入った瞬間ちゅーしたくなったくらい感動したわ(?)
「大斐…っ、おかえり…、良かった…っ、帰ってきてくれて…」「うん、信じてくれてありがと、ダクラ」「…うん」よしよしって頭を撫でてあげると、柔らかい笑顔で笑った。なんだその笑顔、破壊力やばいんですけど。心のシャッター連写してるわ。この和やかな空気の中話切り出すのやだなぁ…。
「…あー、早速で悪いんだけど、話したいことがたくさんあってさー」「ごめん大斐、俺から先でいいか」えっ、初めてじゃない?こっちのダクラが自分から話切り出すの。驚いた…。「もちろん、なに?」「…あの…、俺さ、今日仕事してたら、オオヒに声かけられて」「…えっ?」「最初は、大斐が俺の仕事場に来たんだと思ったんだけど、なんか雰囲気が違くて…、自分のこと指導者だとかなんとか言ってて」「…」「俺まだ新しい最高指導者のこと見た事なかったから、知らなくって…。…顔、大斐と一緒だった…。…この世界の大斐、見つけたってことを言いたくて」「…知ってる」「えっ?何で、…?やっぱりあれは大斐だったのか?成りすましてたのか…?」「違う違う!…俺、逃げてる最中、俺の世界で知り合いの人たちに会ってさ。この世界について色々聞いたんだ。そしたら俺と全く同じ顔をした奴が最高指導者だってことを聞いたんだ。そんなことより」ガシッとダクラの肩を掴む。「そいつ、お前になんの用があったの。なんて話しかけられたの」「…自分と同じ顔をしてる人を、見なかったか、って」「なんて答えたの?」「…他人の顔は認識できないので、分かりませんって…。声、震えてた気がするが」
…これ、どっちだ。
オオヒのところまで俺の話が届いてることは確定した。問題は、オオヒが俺らに手を貸そうとしてるか潰そうとしてるか。今まで聞いた話から察するに、手を貸してくれるから俺を探してるって推測できるけど、まだ確信が持てない。だから俺から出向くのはまだリスクが…。でも次いつここに来れるか…。あーもう、時間に追われすぎだろ!
「…大斐?どう思う…?」「…ひとまず、今はいい人っつー方向で見とこう。ダクラも、もしまた聞かれても知らないの一点張りでいいよ。…まぁ、もう聞かれることもないと思うけど」「…どういうことだ?」「これから俺が言うこと、よーく聞いてな。…まず、この家の奥にある高い壁って分かる?」「…あぁ、だがあそこには近づけないと習ったが…、もしかしてこれも洗脳か」「いや、それで正しい。けど俺はその壁の向こうに行くことが出来たんだ」「…紋章がないからか」「そう。察しが良くて助かるよ。それでさ、壁の向こう側にいる人たちで、何人か俺の知り合いがいたんだけど」「大斐の話を信じてくれたのか?」「うん、ちゃんと信じてくれたよ」「その人たちは、一体どんな人達なんだ…?俺らと何が違う?」「その人たちは、‘エラー’を起こした人たちだよ」「…、は?‘エラー’を起こしたら、処分されるんじゃないのか?」「昔はそうだったらしいけど、今は違う。最高指導者のオオヒが、システムを変えたんだって」「…」「‘エラー’を起こして壁の向こう側に連れて行かれたら、自由になれる。人の顔を認知することも、感情を少し取り戻すこともできる。しかもそこに行くにあたって、暴力を振るわれることもないときた。…だから、ダクラ。提案なんだけど」「俺にわざと捕まってくれって言いたいんだろ」え、お前いつの間にそんな察しが良い子になったの?俺ビックリだよ?「…実は、オオヒがさっきのことを聞いた後で、俺に耳打ちしたんだ。[エリアZ]に行くといいって。その時俺は意味が分からなかったんだけど…、大斐の話を聞いて、壁の向こう側の事かと思って…」「…」
うん、これもうほぼ確定でしょ。オオヒは白だよ。これで黒だったら俺泣くぞ。冗談抜きで。だってさ、もうこれが脅しだったらわざわざ耳打ちする必要なくない?そもそも捕まえるつもりなら、脅すまでもなく問答無用で連れてくだろ。よし、オオヒは仲間ね。おっけー、了解でーす。
「俺、大斐が言うなら従うよ。…死ぬのはちょっと怖いけど、死なないなら、何でもやるから」「うん、それでいいよ。勇気と無謀は違うからな。まぁ何はともあれ、良かったよ承諾してくれて。これで好き勝手やれる…」「それで、俺は何をすればいい?今から狂った振りでもすればいいか?」「待って待って、気がはぇーよw俺もう1つお前に伝えたいことがあるんだって」「なんだ?」「[エリアZ]にいる俺の仲間、実は反乱グループのメンバーなんだ」「反乱…って、大斐が最初来た時に教えてくれたやつか」「よく覚えてるなー。そうそう、政府の命令に背くことなー。で、[エリアZ]に入ったらまず、その反乱グループのメンバーを誰か探して欲しいんだ。お前の話はみんなに伝えてあるから、誰が見つけても分かるはず」「…そうか、わかった」「詳しい話はそいつらが話してくれるよ。…ひとまず、話したいことはこれくらいかな」「…俺はいつ捕まればいい」「んー…。行動は早い方がいいからなぁ、お前がいけると思ったらいつでもいい。俺は離れた所で見守ってるから」「…そうか。なら、今晩の飯を食べたあとならどうだ」「おっけ、いいよ」