テラーノベル
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僕は何とか学校に入学した。
陽灯高校は全寮制。
1部屋につき2人が生活することになっている。
(変な人じゃないといいなぁ、)
………
「お前が…同室?腹が立つ。お前は床で寝ろ、」
ぼかっぼかっ
「い、痛い!や、やめてぇ!」
……
なんてことになったら、困る………
「すっー、はっー、」
よし
ガチャ
「ん、?もしかして、僕とおんなじ部屋?!うわぁー!!」
僕の手をガシッと掴んでブンブンと振るような握手をした。
「僕ね!僕ね!宮原健二って言うんだ!ケンケンって呼んでね!君は齋藤奏斗くんだよね、?!あ、…奏羽の方が良かったかな?」
「なんでそれを、」
………
僕は可愛い。とにかく可愛い。
僕の名前は宮原健二。
ケンケンって呼んだらいいと思う。
俺は世界一可愛い。
そんなかわいい俺にも、できないことがある。
歌が、歌えない。
楽器が弾けない。
箸が、持てない。
………
「あの子はきっと素晴らしい歌手になるわね、?」「当たり前よ!宮原ご夫婦の子なんだから。」
小さい頃、歌がうまかった。
とにかくだ。
子供なんて。大きな声で歌えたら死ぬほど褒められるだろう。
でも、俺は違った。
声がいい。
音程とるのがうまい。
歌詞に、感情をのせられる。
……でもダメだった。
急に声が出なくなった。
声を出しすぎて一時的に、とかじゃない。
急にできなくなってしまった。
音楽が大好きだった俺にとってそれは絶望的な出来事だった。
そんな俺にピアノを教えてくれた。
そこでも俺は驚異的なセンスを発揮した。
小学一年生の俺はとにかく天才であった。
絶対音感に、手先の器用さ。
とにかく必要なものが揃っていた。
(楽しいっ、!楽しい!楽しい!僕を見て!僕の音を聞いて!)
声を出すこともままならなくなってしまった俺は、音楽に触れるにはもう、楽器しか無かった。誰かに何かを伝えるにはもう、楽器しか無かった。
ピアノを弾けば弾くほど。上手くなればなるほど。みんな僕を見てくれた。
(みんなっ、僕を!僕を見て!!)
みんな俺を見なくなった。
(な、なんで、?なんでなの?)
齋藤奏斗とか言うやつが。俺よりもいいらしい、俺よりも上手いらしい。
心のどこかで思っていた。
心のどこかで願っていた。
ピアニスト
俺は諦めた。
あぁこういうやつがプロになるんだと思ったからだ。
(これじゃぁ、僕は、僕がやってきたこと、全部無駄じゃん。)
悔しい、悔しい悔しい悔しい悔しい。
悔しくて悔しくて練習を繰り返していた。
ある日いつも通りピアノを弾こうとした。
指が上手く動かなかった。
(……弾きすぎたかな…指も疲れちゃったんだ)
こんなことは初めてだったから。深く考えず。たまにはピアノから離れて休むことにした。
次の日、ピアノが弾けなくなったことに気がついた。弾こうとすればするほど、動かなかった、
「っ……」
(どうしてどうしてどうして?ピアノも失ったら僕どうすれば。)
(ピアノから離れたから、だからっ、)
その日はひたすら下手くそなピアノを奏で続けた。弾ければ良かった、音が出れば良かった。
次の日、指がろくに動かなくなった。
箸が持てなくなった。
「ちょっと、どうしたの?健二」
ふるふると、首を横にふった。
病院に連れていかれた。
あまりの衝撃になんにも覚えていなかった。
「ピアノは、もう弾けんでしょうな」
…………
俺はそのまま育っていった。
音楽にはもう、執着しないことにした。
(普通にしよう。もう、やめよう)
「あー、あー、」
声が出るようになった。
暫くは吃ったりしてしまったけれど。ひたすら声を出し続けた。歌は、歌わなかったけど。
ある日、突然とんでもないほどに憎しみを劣等感を感じた。
「全ては、奏斗とかいう奴のせいで。」
不幸になれ不幸になれ不幸になれ。
そんなやつ。
「死んじまえ」
………
進路に困っていた時に変なやつに声をかけられた。そいつは高校の校長をやっているらしい。
「君は、やられてしまっているよ。そういう類のものにね」
「は?」
「君は、声を失ったことはありませんか、?」
….!
「は、はい、」
「きっと今は改善されているのでしょうな、あなたはそれを他の人にうつしましたから。…やれ憎しみというものは怖い…」
奏斗…もしかして、そいつはもう、ピアニストじゃなくなって…
………
俺はもう、だめになってしまったから。
ピアノばかりに熱中して、
結局は勉強もろくにできなかったから、
陽灯高校に入ることにした。
………
そして僕は運命的な出会いをした!
「よろしく!奏羽くん!」
僕は…校長に、聞いた!!
奏斗(仮)のことを!……
ムカついたり羨んだりそんな感情はもう無くなった。だってこいつは十分不幸になったから!
僕はこいつが気に入った!
高校生活!楽しくなりそうだなぁ!
………
「よ、よろしく」
「ねぇねぇ、奏羽くん!二段ベット上と下どっちがいい?!」
「えっと、ケンケンは」
「上!上!絶対上!」
「じゃあ僕下で」
「てか君僕より俺の方がいい!絶対絶対!」
「…じゃあ俺下で」
「うん!超絶かっこいい!あと上ありがとねぇ!」
どかっ
「あんま強くガンって乗んなよ、」
「えへー、僕痩せてるからへーきへーき!」
案外。面白いやつかもしれないな
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ユキ
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