コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
──訪れた週末の土曜日、私は、彼の部屋へ初めて来ていた。
家に招かれて、ちょっとドキドキしながらインターホンを押すと、「今開けるよ」と、彼の声がスピーカーから聞こえて、マンションのドアが開けられた。
「よく来たね、いらっしゃい」
「おじゃまします。これ、お土産のケーキです」
買って来たケーキの箱を手渡すと、「ありがとう。後で一緒に食べよう」と、彼が受け取って冷蔵庫に入れた。
「そこのソファーに座るといい」
促されて、革張りのシックな黒のローソファーに、とすんと腰を下ろした。
リビングは、ソファーの下に敷かれたグレーカラーのラグと同系色のカーテンに、ガラステーブルなどモノトーンを基調にしたシンプルな色合いでまとめられていて、チーフの会社での無駄のない仕事ぶりそのままに、室内はよく片付いていた。