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“ ! あなた ! ”
巴ちゃんは驚いた声を上げ、そのまま赤い怪異の方へ倒れてしまった
「あぁ?なんだコイツ、」
悟が巴ちゃんへ触れようとした瞬間
“ 彼女 触る 私 許す ない ”
赤い怪異はそう言い、悟の手を弾いた
「あ”?上等だ、テメェみてぇなクソ雑魚怪異なんざ小指で十分だっつうの」
“ 私 お前 殺す ”
そう言い、悟と赤い怪異は離れた場所で戦闘を始めた
「はぁ、全く、そこの黒髪の怪異。
少し涼しい場所まで彼女を運ぶよ」
“ あなた.. 危険 ない 彼女 言う
私 信じる ”
怪異はよく分からない言語を話すと、頷く動作をし、私は屋根のあるベンチにまで彼女を横抱きに運んだ
「!」
その際、チラリと見えたドス黒い痣の数々、
そして異常な程の軽さ
「、これは、七海の言っていた事がよく分かるな」
胸糞悪い
私は巴ちゃんをベンチへ寝かせ、自分が着ていた制服を畳み巴ちゃんの頭の下へ敷き、枕代わりにした
「、上層部は一体、何を考えているのやら」
私はベンチに腰掛け、巴ちゃんの髪に手を滑らせた
____________
「ん、」
先程より涼しい風が流れ、意識が浮上した
“ ! あなた 起きる ! ”
「おや、起きたかい?」
次第にはっきりとする意識に、そんな声が聞こえた
“ あなた 倒れる ! 私 心配.. “
「這いばいさん、” ごめんなさい あなた 迷惑 かける ”」
私が手のひらを掲げると、ぐりぐりと押し付けるような感覚が走った
「すみません、夏油さん、」
「いや、これぐらい何でもないよ
身体は大丈夫かい?」
そう声が聞こえると、私の背に温かな温もりが走り、夏油さんの手が私の背に添えられている事が分かった
「おそらく暑さでやられたんだろうね、水を飲んだ方が良い」
「あ、すみません、ありがとうございます」
私の手に冷たい物質が握らされ、私はそれを口へ運ぶ
「プハッ、えっと、さっきのお話って、」
「あぁ、全部本当だよ」
「、でも、そんな話、母からは一度も、」
「君のお母さんは非術師と言って、普通の一般人だから、知らなくて当たり前だよ」
「という事は、私のお父さんが、?」
「そう、君のお父さんが呪術師で、暁月家の現当主だ」
「と、当主?!」
お父さん、そんな凄い人になってたなんて、
「基本的に、非術師と呪術師の間に生まれた子供はどちらかの性質が受け継がれる」
「つまりは、呪術師になるかただの一般人になるか」
「、それで、私はその呪術師の性質を持った、という事ですか?」
「その通り、その性質を持ってしまった以上
君は呪術師になるしか未来はない」
「呪術師、」
私はふと、ぐりぐりと私の手に押し付けている這いばいさんの頭を撫でた
「、呪術師になれば、何も出来ない私でも、
強くなれますか?」
「、呪術師は命懸けの仕事だ
でも、確実に君を強くする事はできる
私が保証するよ」
夏油さんのその言葉を聞き、私の決意が固まった
これ以上、何も出来ないのは嫌だ
盲目を理由に、逃げるのはもうやめたい
「、やります。私、呪術師になります」
「、、後悔はないかい?」
「はい!」
「、うん、君の決意、しかと受け取ったよ」
うるさい蝉の合唱、先程まで煩わしいと思っていたそれは、今は何も聞こえなくなった
こうして、私の新たな人生が幕を開けた